10月某日、カシオ本社に近い新国立劇場にあるレストラン「マエストロ」にて、抽選で選ばれた11組のG-SHOCKファンが集うイベントが行われた。腕時計のファンミーティングでは一体どのようなことが行われるのか、実態を調査した。
TEXT/Daisuke Suite(WATCHNAVI)
G-SHOCKファンミーティングはフランスでの活躍が期待される二人が主役
G-SHOCKは、来年で誕生40周年を迎える。大きな節目を迎えるにあたり、そろそろ商品開発やイベントなどで動きがありそうだ。そんな予想をしていたときに、カシオ側から「10月にファンミーティングを行うので、取材にきませんか?」という申し出をいただいた。聞けば、かなり久しぶりのリアルイベントだという。今後の展開を知るヒントを得るうえでまたとない機会なので、喜んで参加させていただくことにした。
当日はランチをいただきながら、BMXの中村輪夢さんとブレイキンのShigekix(シゲキックス)さんによる対談形式のトークイベントがメイン。観客となるG-SHOCKファンは、CASIO IDに登録後にイベント参加を応募した人の中から抽選で選ばれた10組の方々で、ファミリー、カップル、友人同士、ソロなど参加形態はさまざま。もちろんみなさんG-SHOCKを愛用していた。会場の展示物は「生みの親」伊部菊雄さんが最初に提出した企画書から最新のG-SHOCKとその耐衝撃構造の説明まで商品関連が中心。これに中村さんとシゲキックスさんの愛用品とこれまで獲得したメダルなどが加わり、これだけでも十分に見応えがあった。
中村輪夢さんは初のクローズドイベントという貴重な機会に
開始時間を迎えて席に座るとイベント中の注意事項などが案内され、いよいよ司会者の呼び込みでお二人がステージに登場。登場した中村さんは、最初の挨拶で、「ここまでファンと距離の近いトークイベントは初めてなので緊張しています」と、当初こそ緊張の面持ちだったが、同じ年齢の親友とのトークということもありすぐにいつもの笑顔を取り戻して、会場も和やかな雰囲気に包まれる。最初のトークテーマは、彼らの競技を始めたきっかけについて。中村さんは、父親がBMXライダーでバイクショップも経営していることもあり物心つく前から自転車に乗っていたとのこと。「名前がパーツの名前ですし、気づいたらBMXに乗るのが当たり前の日常でした」(中村さん)
ブレイキンで46回の優勝歴を持ち、現在も向かうところ敵なしのShigekix(シゲキックス)さんは、お姉さんの影響が大きかったそう。「4歳上の姉がトランポリンをやっていて、僕も最初はトランポリンだったんです。その後、姉がブレイキンを始めたので僕もやり始めたのが7歳の頃。しばらくどちらも続けていたのですが、いよいよどちらかを選ばなければならなくて姉も僕もブレイキンを選んだんです」(Shigekix(シゲキックス)さん)
次のテーマで語られたお二人の出会いは、驚くことに2016年に後楽園ホールで行われたG-SHOCKのストリートイベント「REAL TOUGHNESS」が初対面だったそう。中村さんは京都、Shigekix(シゲキックス)さんは大阪と、出身地も関西圏で同い年ということもあり、互いに刺激し合い、応援し合う仲になっていったという。「BMXやサーフィン、スケートボードとか、カルチャーの近いスポーツは色々とありますし、それぞれの競技者に刺激を受けたり、応援もしています。ただ、たとえば今回のG-SHOCKのようにスポンサーが同じだったりしないと、とくに他の競技の選手とはあまり交流する機会がないんですよね」(Shigekix(シゲキックス)さん)
G-SHOCKにまつわる話もふんだんに聞ける貴重な場
「最初に手にしたG-SHOCKは?」との問いについては、「G-SHOCKがスポンサーをしていたキッズの大会でもらった優勝賞品が、最初の1本でした。実は同じ年のクリスマスプレゼントにG-SHOCKをお願いしていたので、いきなり2本目も手に入っちゃいました(笑)」(Shigekix(シゲキックス)さん)。「僕は、さっきも話に出たREAL TOUGHNESSの会場で勝ったときの賞品が初めてのG-SHOCKでした」(中村さん)。ちなみに当日に彼らが着けていたモデルは、Shigekix(シゲキックス)さんがGMW-B5000、中村さんがG-5600UEだった。中村さんは2016年にリアルタフネスで勝った際の賞品、GST-W300G-1A9JFも持参していた。
ここでいったんのランチタイムに。「マエストロ」のコース料理、メインディッシュがサーブされたタイミングでトークイベントは第二部、質疑応答へ。ここでは、お二人の「これまで経験した大怪我と練習できないときのモチベーションの保ち方」や「毎日のルーティンはあるのか?」「ライバルはいるのか?」「中村選手はママチャリに乗ったことがあるのか?」「大会前の勝負飯や遠征で必ず持っていくものなどはある?」「やってみたい競技はある?」など、参加者からの事前質問に答えていく。回答については参加者の特典として、ここでは割愛させていただくことにする。
ファンサービスも盛りだくさんで記憶に残るひと時に
いよいよイベントも終盤戦。ここからは豪華景品が当たるG-SHOCKクイズ! ということで、お二人のサインが入ったG-SHOCK × New Era コラボキャップのキャップ(2名分)を賭けたクイズ大会がスタート。クイズは全3問で、Q.1/イベント会場で流れていたムービーで着用していたモデルのシリーズ名、Q.2/2003年に発売されたG-SHOCKの機能的特徴、Q.3/35周年のときにコラボレートしたデザイナー、という設問を3択で回答するもの。全問正解者が5名いたため、急遽ジャンケン大会が行われた結果、2名の女性にキャップが贈呈された。すっかり食事も終わり、最後はサイン会と記念撮影会へ。フランスでの活躍が期待される中村さんとShigekix(シゲキックス)さんとこんなにも長い時間、同じ空間を共にできるだけでも貴重な機会だが、さらにG-SHOCKファンに向けたイベントだけあって、ファンサービスもたっぷり。ここでしか聞けない話も多く、取材で入った筆者さえも忘れられないイベントとなった。きっと参加者全員も同じ思いを抱いたに違いない。
コロナ以前、G-SHOCKは様々なイベントをサポートし、また自らも行なってきた。そのようにしてブランドがカルチャーを支え、作り、あらゆる世代と共に新たな物事を作り上げていくことで、そのカルチャーは次の時代に受け継がれていく。もちろんそこにはファンの存在が不可欠だ。久しぶりの実施となった今回のリアルイベントを取材し、改めてファンを大切にするG-SHOCKの姿勢を感じ取ることができた。
余談ではあるが、筆者は日々の雑誌の編集や記事の製作を通じて腕時計から広がる世界の広さを感じている。今回のイベントも、会場にいるすべての人がG-SHOCKを共通言語に集ったわけだ。参加者の中には、G-SHOCKを手にしたことでBMXやブレイキンのトップ選手と交流の場が持てるとは、思いもよらなかった人もいただろう。実はG-SHOCKに限らず腕時計ブランドの多くは、こうしたことを実践している。腕時計を好きになったならば、ぜひそのモデルのバックグラウンドまで調べてみることをおすすめしたい。そこから広がる世界を知れば、腕時計を持つことはもっと面白く、興味深いものになるはずだ。
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