チューダーの2019年注目ダイバーズは今秋リリース予定
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ロレックスとファミリーのような関係にある「チューダー」は、昨年秋に日本本格上陸を果たした。国内での正規販売が待ち望まれていただけに、業界はもちろん全国の時計好きたちも諸手を挙げて歓迎。一大トピックとなったわけだが、約1年が経過した現在でも人気ぶりは衰えを見せず、むしろ拍車がかかっている。9月14日には銀座に日本初の路面旗艦店をオープンするなど、もっとも注目すべきブランドである。
海軍用時計としての緻密な設計と機能
そんなチューダーが、今年3月のバーゼルワールドで発表した話題作が「ブラックベイ P01」である。この新作のデザインは、同社が1960年代後半にアメリカ海軍向けに開発したダイバーズウオッチのプロトタイプが基になっている。タフで実用的なダイバーズの製造で高い評価を得ていたチューダーの、知られざる時計開発史に光りをあてた一本といえよう。
ダイアルデザインはフラッグシップモデル「ブラックベイ」譲りだが、細部にはオリジナルモデルが備えていた海軍用時計らしい機能が詰まっている。代表的なものが、12時側のケースとストラップの結合部にあるエンドリンクで、ヒンジ仕様の別体型パーツになっている。これは両方向回転式ベゼルのロック機能を併せ持った機構として開発された。また、先端が角型の「スノーフレーク」針を備えるブラックダイアルと、オールサテン仕上げで統一したステンレススチールケースは、光の反射を極小に止める効果がある。
12時側のエンドリンクは、1968年当時に特許申請を行った機構。両方向回転式ベゼルを固定するだけではなく、メンテナンスをしやすくするという利点もあった
オリジナルモデルとは異なり、ブラックベイ共通の特徴である「スノーフレーク」針を採用。4時位置のリューズは、装着時でも操作しやすく、他の装備品との接触や引っ掛かりを低減するため
自社開発・製造のキャリバーMT5612を搭載。クロノメーター認定の高精度な自動巻きムーブメントで、カレンダー機能も備える。パワーリザーブは約70時間。週末に装着しなくても月曜日の朝まで動き続けているので便利だ
右が新作「ブラックベイ P01」で、左がモチーフとなったオリジナルモデル。最大の違いは、復刻版がスノーフレーク針なのに対して、オリジナルはロレックスと同じベンツ針。エンドリンクやベゼルのデザインにも微差が確認できる
復刻時計としての忠実性と高機能を兼備
いまや時計界の一大ジャンルといえる“復刻”は、歴史や実績のあるブランドだからこそ取り組むことができる。チューダーもこれらを満たすブランドのひとつで、「ブラックベイ P01」はアメリカ海軍向けに開発された幻のダイバーズというストーリー性も十分だ。オリジナルモデルの意匠と機能を、現代スペックで見事に再現した「ブラックベイ P01」は、コレクション目的でも日常使用においても、期待値以上のハイレベルな仕上がりである。
≪試着レビュー≫
フラッシュフィットの可動範囲が広く、装着しやすい
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ケースの直径は42mmだが、ラグが縦長のためかもう少しコンパクトな印象を受けた。厚さは14.45mmで、程よい存在感がある。ケースとストラップを繋ぐフラッシュフィットが可動するため、腕へのフィット感に好印象を持った。さらに専用レザーストラップの裏側はラバーコーティングされているので、汗をかいたときにも簡単に拭き取ることができ、滑り止めを兼ねているスノーフレークパターンのデザインも遊び心に富んだものだ。両方向に回るベゼルをロックする12時側のエンドリンクの使い方は簡単で、安心して時間の計測や経過を計ることができる。対抗モデルには、大人気の「ブラックベイ クロノ S&G」と「ブラックベイ GMT」をチョイスした。詳細はウオッチナビサロン本サイトのフォトギャラリーで紹介。
ラグ周辺に特徴があるデザイン。フラッシュフィットが大きく可動するため、腕の細い人でもフィットしやすいはず。ケースの厚さは、ダイバーズとしては平均的な14.45mm
12時側のエンドリンクに刻みが入っており、ここを押すことで両方向回転式ベゼルのロックが解除される仕組み。オリジナルモデルと比べて、控えめなデザイン
エンドリンクを上げて、ベゼルのロックを解除した様子。この状態でベゼルを両方向に回すことができる。再びロックするにはエンドリンク部を押すだけ
エンドリンク、フラッシュフィット、レザーストラップと3つに分かれており、それぞれの繋ぎ目が可動する。これによって優れた装着感を実現
レザーストラップは劣化を防ぐため、耐汗性や耐水性を考慮して裏側をラバーでコーティング。ブラックベイのアイデンティティである「スノーフレーク」針をモチーフに、滑り止めとしてパターンを施した
<対抗ウオッチ>ブラックベイ クロノ S&G Ref.79363N 税抜価格67万1019円/ブラックベイ P01と同じく2019年発表のニューモデル。ステンレススチールと18Kイエローゴールドを巧みに組み合わせたコンビモデルで、自社製のキャリバーMT5813を搭載する。200m防水。自動巻き
外装だけでなくインデックスや針、インダイヤルもゴールドカラーにすることで、高級感と統一感を持たせた。タキメーター入りのベゼルディテスクは、イエローゴールドにマットブラックのアルマイト加工を施している
ダイバーズ・クロノグラフとしてはコンパクトな直径41mm、厚さ14.4mm。欧米人に比べて腕が細い日本人でも着用しやすいサイズといえる。クラシカルなドーム型サファイアクリスタル風防もアピールポイント
3連ブレスレットの中央列に18Kイエローゴールドを使用。側面にビスが付いたリベット調の古典的なデザインだが、無垢素材でできたラグジュアリーな仕様だ
<対抗ウオッチ>ブラックベイ GMT Ref.79830RB 税抜価格35万6482円/昨年発表されて以降、人気のために入荷待ちが絶えない一本。マットバーガンディ&ブルーの24時間目盛り入りベゼルディスクは、ステンレススチールにアルマイト加工を施したもの。自社製の自動巻きムーブメント、キャリバーMT5652を搭載する。200m防水
カラーリングが印象的な24時間ベゼルモデルの直径は41mm、厚さは15mm。GMT針のレッドがブラックダイアル上でアクセントとして効いている。“テッラ ディ シエナ”ブラウンレザーストラップの色合いも絶妙にマッチ
存在感のあるベゼルのため、第一印象は実寸サイズよりも大きく見えたが、装着してみると手首周り約17.5cmの筆者の腕にも収まりがよかった。質感の高い特注レザーストラップも見事で、装着感の良さに貢献している
チューダー「ブラックベイ P01」
Ref.70150 税抜価格38万7500円/自動巻き。200m防水。ステンレススチールケース。ロック機構付きの両方向回転式ベゼル。ルミネッセンス夜光。直径42mm、厚さ14.45mm。レザー+ラバーのハイブリッドストラップ。今秋発売予定
1960年代後半、アメリカ海軍の兵士が着用することを想定に、コードネーム「コマンドー」として極秘裏に開発されたダイバーズウオッチのプロトタイプを、約50年ぶりにリバイバル。レトロなドーム型ブラックダイアルをセットし、インデックスと針にはクラシカルな色合いのルミネッセンス夜光を塗布する。COSCによるスイス公認クロノメーター認定を受けた、高精度な自社開発・製造のムーブメントを搭載。ヒンジ仕様のエンドリンクは接合部の保護のほか、ベゼル部分を分解しやすくすることでの保守性、意図しないベゼルの回転を防ぐ。また、オールサテン仕上げの無骨なケースは、海軍用の装備品としての実を取った機能美といえる。
問:日本ロレックス TEL.03-3216-5671
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