1832年、スイスの山間にある小さな村、サンティミエで興された「ロンジン(LONGINES)」は、その後、世界的な時計ブランドへと発展。江戸時代にはすでに日本にも伝えられており、西郷隆盛がロンジン製の懐中時計を愛用していたという逸話も残る。そんな老舗は、2020年も魅力的なニューモデルを数多く揃えている。
ロンジン十八番の“ヘリテージ”コレクションに心酔
長い歴史を誇るロンジンは、これまでに数々のタイムピースを輩出してきた。現在はこれらを題材に、復刻するプロジェクトをブランドの柱のひとつに据えている。今年もいくつかのリバイバルモデルが発売されるが、そのなかでもWATCHNAVI Salonが“これぞ!”と感じた逸品についてレポートしたい。
戦争が終わりを告げた1940年代後半。自由な雰囲気が広まった時代へのオマージュとして、当時の歴史的傑作のデザインを蘇らせたのが新コレクション “タキシード”である。ドレスコードの王道、タキシードをテーマとする本機は、名称の通り文字盤からストラップでモノクロカラーを表現。その自由な発想はまさにロンジンならではであり、そして1940年代を暗示するものといえよう。
本コレクションは、シンプルな3針式とクロノグラフの2モデル展開となっている。
その名もずばり“紳士の正装”――「ロンジン ヘリテージ クラシック “タキシード”」
3針タイプは、1940年代製に散見されるスモールセコンドを配したデザインで、中央のオパーリンシルバーをマットブラックが囲んだバランスの取れたダイアル。クラシカルな細いバトン針とアラビア数字インデックスには、アンティークウオッチで見られる焼けた色合いにあえて仕上げたスーパールミノバ夜光を塗布している。オリジナルモデルのケースは35mm径だったが、現代の使い勝手を考慮して38.5mmに変換された。その内部には、スモセコモデルの上位機種に使われるロンジン専用のキャリバーL893.5が備えられている。
往年のクロノグラフへの賛美――「ロンジン ヘリテージ クラシック クロノグラフ “タキシード”」
一方のクロノグラフもまた、懐古主義を体現するデザイン。マットブラックとオパーリンシルバー、そしてミッドナイトブルーの針とタキメータースケールが、洗練された紳士の正装にまさしくマッチする。スモールセコンド(3時位置)と30分積算計(9時位置)の2インダイアルが一段下がった位置にあることで、リーフ型の時分針を軸に構成されている文字盤は読み取りやすいものとなっている。これらはモチーフとなった1943年製クロノグラフにヒントを得たディテールだ。なお、こちらのムーブメントもロンジン専用で、耐磁性を高めるシリコン製ヒゲゼンマイが搭載されている。
伝統・エレガンス・パフォーマンスを理念に掲げ、名作を生み出し続けてきたロンジン。モノクロコントラストが目を引く両機のモチーフとなったオリジナルモデルは、かつてコレクターたちが親しみを込めて「タキシード」と名付けたという。その美しきデザインは、現在においても人々を魅了するに違いない。
問い合わせ先:ロンジン TEL.03-6254-7351
https://www.longines.jp/
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