最近、某テレビ番組や某新聞で「ロレックス(ROLEX)」が取り上げられていた。やはり注目が集まる高級ウオッチであるし、日本だけでなく世界で通じるブランドとして、超一級であることは疑いようがない。
では、どうしてロレックスは人気なのか? シンプルなこの問いに、間近に見る機会を得た2020年登場の新型「オイスター パーペチュアル サブマリーナー デイト」の紹介とともに、その魅力について改めて迫りたい。
オーソドックスなダイバーズデザイン。結局、これがパーフェクト
1953年にファーストモデルが開発されたサブマリーナーは、ロレックスが初めて手掛けたダイバーズウオッチであった。時代はダイビングがひとつのレジャーとして認知され初めた頃で、潜水に腕時計が必須アイテムであることを見越して開発された。もともと防水性・防塵性に優れるオイスターケース(1926年開発)のノウハウを持っていたロレックスは、この技術を使って完成させた。以来、このダイバーズはデザインを大きく変えることなく、素材やディテール、ムーブメントなどをブラッシュアップする形で進化してきた。これはサブマリーナーに限ったことではなく、ロレックスのコレクションのほとんどが“正常進化”を果たしてきた。
こうしたユーザー目線に立った時計作りの姿勢を、現在でも貫いているのがロレックスの魅力といえる。実用的であり精巧であることは、やがて年月が過ぎても機能性を失いにくく、半世紀も前の個体だとしても日常で使用できるものが多数残っている。無論、メンテナンスを怠っていないことが前提だが、ヴィンテージウオッチは防水スペックに不安があるためデイリーユースしにくいのが現実だ。その点でロレックスのオイスターケースモデルは、個体差はあるものの古いものでも比較的に着用できる場合がある。
実用性への飽くなき探求心が“最新こそ最良”を生んだ
では、昨年リリースされた新型サブマリーナーに話を移そう。
ダイバーズのベンチマークたる意匠はそのままに、ケースが1mmだけ大きくなって41mmになった。見た目はほとんど変わらないが、このサイズアップとは逆にラグが細身になったことで、オイスターブレスレットの幅が広がっている。とくに3列のうちの中央のコマがワイド化した。トータルでのデザインバランスを図ったアイデアとみられ、相変わらずのフィット感の良さに脱帽した。
新型の長期にわたっての使用感は言及できないが、旧型を所有し、多くのロレックスを見てきた筆者が言えることとしては、2000年前後を境に、ロレックスの特にブレスレットは質感で他社を大きくリードするものへと発展したものと考えている。最高級904L系スチールに属するオイスタースチールが使われ初めた理由もあるが、コマとコマの絶妙な間隔から生まれる遊びが優れた装着感を実現するようになった。剛性も然りである。この両立がなかなか難しい。
さらに近年はバックル(ロレックスの正式名称は、グライドロッククラスプ)の作りも素晴らしい。がっちりとホールドで、サブマリーナーはダブルロック式になっている。ここに2mmごと最大20mmまでの微調整が可能な機能が付いており、これが意外と便利。もとはダイビングスーツの上からでも着用しやすいようにと考案されたシステムなので不必要と思いきや、汗ばむ夏場のブレスレットの締めつけを緩めたり、逆に正装するようなシーンではフィット感を高めたりなど、筆者は何かと使う場面がある(旧型にも搭載)。
こうした細部にわたる作り込みと十分な強度を兼ね備えるブレスレットは、新型サブマリーナーにもしっかり受け継がれている。
搭載ムーブメントが最新仕様のキャリバー3235へと切り替えられたことで、パワーリザーブは約70時間へと大きく延長されている。これはビジネスウオッチとして利用する人にとって朗報だ。そして旧型と同じく、ケーシング後の日差が-2~+2秒の高精度クロノメーターの認定も受け、機械式時計では最高レベルの正確性を誇る。
さらには現代の必須機能ともなった耐磁性能を獲得するべく、磁気の影響を受けにくいニッケル・リン合金から構成されたクロナジーエスケープメントを採用。これは動作効率の増大にも貢献している。その他にもブルー パラクロム・ヘアスプリングやパラフレックス ショック・アブソーバなど、最新技術が投入されているのだ。
着実な進化を遂げた新型サブマリーナー。細部やメカのブラッシュアップによって、実用性を向上させるロレックスらしいリニューアルとなった。
世界に冠たるブランド力があってこそ、ロレックスは需要がいっこうに増え続けている稀有な存在といえる。これを支えているのが末長く使えるという実証で、価値が落ちにくいという基盤に繋がっている。
スポーツロレックス全般、需要が供給に対して過大であることから店頭で見かけにくくなってしまった現状が残念である。ロレックスはモノの良し悪しを見抜く力を養えるような存在であってほしいし、手の届く範囲内の腕時計であり続けてほしい。
Text/WATCHNAVI編集部
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