ブランパンのザ・シンプルウオッチは、針の数だけでは語れないエレガンスに満ちている

時計界の雲上ブランドには、これぞといったドレス系デザインの“ザ・シンプルウオッチ”がラインナップされている。それらは栄光の歴史や技術の高さを物語るシンボリックな存在であり続けている。

本記事では、スイス最古の時計ブランドを名乗る「ブランパン(BLANCPAIN)」において、重要な創業地の名を与えたエレガントコレクションの魅力に迫る。

センターセコンドの表情をドレッシーに見せる巧みな手腕

 

シンプルウオッチとは何か? それを定義することは難しい。ある人は2針の薄型こそが究極のシンプルだと言うかもしれないし、スモールセコンドまではシンプルの範疇だと言うかもしれない。中にはセンターセコンド仕様のいわゆる中3針で、いまどきデイト表示くらいは付いていて当たり前だと思う人もいるだろう。では、プチコンプリケーションに類するビッグデイトはどうだろう? 異論はあるだろうが、これもデザイン次第では含めてもよいのではないか? その好例がブランパンの「ヴィルレ ラージデイト」だ。

現存するスイスの時計ブランドのなかで、最も古い歴史を持つとされるブランパン。その創業地であるベルン州ヴィルレの名を冠したこのコレクションは、古典的なエレガンスを体現したもの。そのラインナップは薄型2針のウルトラスリムから、ミニッツリピーターやカルーセル・トゥールビヨンといった超コンプリケーションまで網羅する。全モデルに共通するのはラウンドのケースフォルムと、ダブルステップと呼ばれるスレンダーなベゼルだ。この細く絞ったベゼル形状が、ヴィルレの表情をエレガントに見せていることは間違いない。

さらに重要なのは、針やその組み付けである。ヴィルレ ラージデイトはセンターセコンドを持つ中3針なのだが、3本の針の高さが極めて低く抑えられている。具体的には、針と針の間に不用意な隙間を持たないのだ。さらに針の付け根である袴も立体感のある重厚な仕上がりで、その重なり方が凝縮感を生み、時計の表情を引き締める要素となっている。

アワーマーカー部分にステップが設けられた段付きダイアルは、目の細かなオパリンで仕上げられたしっとりとした表情。柔らかな書体のローマンインデックスは、鋭角なエッジを持たないアプライド仕様で、さらにラージデイトの窓枠には、しっかりと面取り加工が施されている。これが全体の表情を引き締めているのだ。多くのディテールを持たないシンプルウオッチに最も大切なのは、こうしたひとつひとつのバランス調整なのである。

クラシカルな外装に対して、搭載されるムーブメントはシリコンひげゼンマイを備えた最新スペックの「キャリバー6950」。写真では取り外されているが、フルローターを備えてなお、厚さは4.75mmに抑えられている。パワーリザーブは約72時間と実用性も十分。

 

ブランパン「ヴィルレ ラージデイト」Ref.6669-3642-55B 231万円/自動巻き(自社製Cal.6950)、毎時2万1600振動、72時間パワーリザーブ。18Kレッドゴールドケース(シースルーバック)、アリゲーターストラップ。直径40mm(厚さ10.9mm)。3気圧防水。

 

プチコンプリケーションに含まれるラージデイトを備えた「ヴィルレ ラージデイト」は、シンプルさと機能性のせめぎ合いのなかで、最もバランス感覚にすぐれたデザインを紡ぎ出した逸品。ダブルステップのベゼルが何とも古典的な意匠である。

 

問い合わせ先:ブランパン ブティック 銀座 TEL.03-6254-7233 https://www.blancpain.com/ja