スイス時計を代表するマニュファクチュールブランド【ジャガー・ルクルト(JAEGER-LECOULTRE)】が最新作を発表。19世紀の浮世絵師、葛飾北斎の作品をデザインテーマとした「レベルソ・トリビュート」の2モデルが世界10本の限定生産で発売となる。
「レベルソ・トリビュート」と葛飾北斎が融合
ジャガー・ルクルトというブランドは、古くからアジアのモチーフに着目しており、東洋の装飾工芸を特別な時計作りに取り入れてきた歴史がある。日本で最も有名な19世紀の浮世絵師、葛飾北斎の作品もデザインテーマに選ばれており、2021年に「下野黒髪山きりふりの滝」、2022年に「木曽路ノ奥阿弥陀ヶ瀧」を再現した「レベルソ・トリビュート」モデルを発表し、国内外の時計愛好家たちから大きな注目を集めた。
今回、ジャガー・ルクルトのメティエ・ラール™工房の熟練した職人たちは、再び葛飾北斎にオマージュを捧げるスペシャルモデルを制作。葛飾北斎が1831~1833年にかけて本州の各地を訪れて名瀑を描いた8枚揃いのシリーズ木版画「諸国瀧廻り」の内の2枚、「木曽海道小野ノ瀑布」と「和州吉野義経馬洗滝」を複製したエナメル細密画をケースバックに装飾する2つの新しい「レベルソ・トリビュート」を世に送り出した。
葛飾北斎の描いた木版画を忠実に再現
「レベルソ・トリビュート・エナメル・葛飾北斎 諸国瀧巡り『木曽海道小野ノ瀑布』」は、葛飾北斎が京都と徳川将軍の本拠地である江戸(現在の東京)を結ぶ古道にある、長野県の名所を描いた「木曽海道小野ノ瀑布」をデザインテーマとする。白と複数の青で描かれる滝を主役とし、滝に隣接する崖には小さな神社、その近くを流れる川の橋の上には数人の旅人が描かれた、この構図をケースバックで見事に再現。
一方、「レベルソ・トリビュート・エナメル・葛飾北斎 諸国瀧巡り『和州吉野義経馬洗滝』」のデザインテーマは、源義経が自分を裏切り者とみなした兄、源頼朝より逃げていた際、吉野(現在の奈良県)の山中で休憩し、愛馬を洗ったとされるエピソードを葛飾北斎が描きだした「和州吉野義経馬洗滝』」。滝から力強く流れる水の中で、馬を洗う2人の男が描かれた構図をケースバックに複製している。
細かな文字が手書きされたカルトゥーシュ
「レベルソ・トリビュート・エナメル」のケースバックで描かれる2つの細密画は、仕上げにジュネーブ技法が使用されており、この下に800°Cの高温で焼成されたエナメルが14層以上、重ねられている。葛飾北斎の特徴的な色使いを異なる手段で正確に描くだけでなく、オリジナルの約10分の1のサイズで、すべてのディテールを狂いなく再現するという技術的な課題もジャガー・ルクルトの職人たちは見事にクリア。文字盤上の見どころは果てしなく存在しているが、最も注目してほしいのが、上部に描かれたカルトゥーシュ。作品名などが非常に小さく手書きされており、葛飾北斎が手掛けたオリジナルを完璧に再現した素晴らしいディテールとなっている。
繊細なギヨシェ装飾が施された表ダイアル
個性豊かなケースバックだけでなく、セット加工のアプライド アワーマーカー、ドーフィン針、レールウェイミニッツトラックを備え、気品と洗練を感じさせる表ダイアルの完成度も秀逸。2モデルともに手作業でギヨシェ装飾が施されており、「木曽海道小野ノ瀑布」のパターンはクラシカルなバーリーコーン模様、「和州吉野義経馬洗滝」では、800本以上の線で構成される菱形パターンが採用される。
今回、発表された2モデルは日本を代表する浮世絵師、葛飾北斎と、ジャガー・ルクルトが誇る不朽の名作、「レベルソ」が融合。2023年に発表された腕時計の中でも、際立った個性を持った傑作タイムピースといえるだろう。
ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・エナメル・葛飾北斎 諸国瀧巡り『木曽海道小野ノ瀑布』」 Ref.Q39334T5 手巻き(Cal.822)、毎時2万1600振動、42時間パワーリザーブ。ホワイトゴールドケース、ブラックアリゲーターストラップ。縦45.6×横27.4mm、厚さ9.73mm。世界限定10本。
ジャガー・ルクルト「レベルソ・トリビュート・エナメル・葛飾北斎 諸国瀧巡り『和州吉野義経馬洗滝』」 Ref.Q39334T4 手巻き(Cal.822)、毎時2万1600振動、42時間パワーリザーブ。ホワイトゴールドケース、ブラックアリゲーターストラップ。縦45.6×横27.4mm、厚さ9.73mm。世界限定10本。
問い合わせ先:ジャガー・ルクルト TEL.0120-79-1833 https://www.jaeger-lecoultre.com/jp-ja ※価格はすべて記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/三宅裕丈
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