<取材協力>
IWCシャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)
1868年に創業した高級時計マニファクチュール【IWCシャフハウゼン(IWC SCHAFFHAUSEN)】は、アメリカ人創業者の合理的な生産思想とスイスの伝統的な職人技を融合させ、質実剛健を体現する機能美豊かな機械式時計を輩出している。コレクションはいずれも華美な装飾を抑えた洗練されたデザインが特徴だが、そのイメージを踏襲しつつ、モダンな雰囲気を纏ったニューモデルがウォッチズ・アンド・ワンダーズ ジュネーブ 2026(Watches and Wonders Geneva 2026)で発表された。複数の技術的なハイライトもあり、必ずや世界中の愛好家が熱視線を送るはずだ。
「VAST」とのコラボレーションが時計作りにおいても革新をもたらす
2025年9月、IWCは民間宇宙ステーションを開発するアメリカ合衆国の「VAST(ヴァスト)」と技術提携を結び、公式タイムキーパー就任を明らかにした。これにより、2027年の打ち上げが予定されている「Haven-1」(世界初の商用宇宙ステーション)を含め、VASTの宇宙開発における振動や素材の耐久性を評価する技術協力を実施し、次世代の宇宙用機械式時計の開発を進める。その第一弾となるモデルが今回発表された。それが、「パイロット・ウォッチ・ベンチュラ―・バーティカル・ドライブ」(Ref.IW328601)だ。
最大4Gの加速力や100℃〜マイナス150℃にまで及ぶ極端な温度変動に耐え、宇宙空間での使用を想定した有人宇宙飛行と宇宙空間での計時という過酷な要求に応えるこの機械式GMTウオッチは、昼夜を判別しにくい宇宙での時刻表示を正確に行うためにIWCがゼロから設計・開発した革新的なモデルとなる。船外活動(EVA)中に着用する加圧宇宙服や専用グローブを着けた状態でも宇宙飛行士が操作可能なように、リューズではなく回転するベゼルで時刻(ホームタイム/ミッションタイム)の調整やゼンマイの巻き上げが行えるメカニズムを備えている。なおこれらの機能は、ケース側面に配されたロッカースイッチにて切り替える。特許出願中という回転式ベゼルシステムを採用し、「バーティカル・ドライブ」と呼ばれるクラッチシステムを介してベゼルの動きが巻真へと伝達する技術を搭載する本機が、今回のW&Wの目玉モデルとなっている。

↑ IWCシャフハウゼン「パイロット・ウォッチ・ベンチュラ―・バーティカル・ドライブ」 Ref.IW328601 407万9900円/自動巻き(自社製Cal.32722)、毎時2万8800振動、120時間パワーリザーブ。セラミックケース、セラタニウム®ベゼル&ケースバック&ピンバックル、FKM(フッ素ゴム)ラバーストラップ、両面反射防止加工を施したドーム型サファイアガラス。直径44.3mm、厚さ16.7mm。10気圧防水。

↑ [写真左から]ホワイトの酸化ジルコニウム・セラミックケースを採用した「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・プロセット “プティ・プランス”」(Ref.IW339601 631万4000円)。サテン仕上げの43mm径ステンレススチールケースを採用した「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ “プティ・プランス”」(Ref.IW378011 116万7100円)。今回のパイロット・ウォッチ“プティ・プランス”コレクションの最小サイズ、「パイロット・ウォッチ・オートマティック 36 “プティ・プランス”」(Ref.IW458802 83万2700円)。いずれのモデルも、ホワイトのインデックスを配したディープブルーのサンレイ仕上げ文字盤を特徴に持つ。
『星の王子さま』とのパートナーシップ20周年を彩るコレクションが多数
さらにパイロット・ウォッチからは、アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリの遺族との20年にわたるコラボレーションを記念する“プティ・プランス”コレクションが複数発表された。全型共通で、サンレイ仕上げを施したディープブルーの文字盤や、『星の王子さま』の愛らしいイラストをあしらったケースバックといった特別なデザインを備えており、機械式時計に馴染みの薄かった層をも惹きつける魅力に溢れている。そのラインナップは、ハイエンドな永久カレンダーから定番のクロノグラフ、シンプルな「マーク XX」ベースの3針まで揃う充実な内容となっている。
永久カレンダーを再定義する前後調整を可能にする新機構「IWC-PROSET®」
もうひとつの技術的ハイライトが、機械式カレンダーの操作を一新するパーペチュアル・カレンダーの新機構「IWC-ProSet®」である。これは完全に同期させたホイール設計に基づき、永久カレンダーのシームレスな前後調整を史上初めて可能とする機構。従来の永久カレンダーの難点であった設定・修正をリューズひとつで両方向に行える。要するに時刻設定と同じくらいの感覚で行えるわけだ。新作「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・プロセット “プティ・プランス”」(Ref.IW329601)は、1985年にクルト・クラウスによって開発された独創的な永久カレンダー機構を受け継ぎつつ、さらなる利便性を追求して生まれたイノベーティブな逸品といえるだろう。
さらに特筆すべき点が、ムーンフェイズ(北半球と南半球に対応)の精度だ。減速ホイールの再計算により、実際の月の軌道との誤差を1040年でわずか1日に留めている。これに関連する月の長さホイールやムーンフェイズホイール、24時間ホイール、プログラムホイールなど、複雑な形状によって制御されるスマートな機械式プログラムが担うが、それらの部品製造には最先端の「LIGAプロセス(微細構造化技術)」が活用されている。このような最新技術とペラトン自動巻き機構を備えるIWC自社製造の「キャリバー82665」は、直径42mmのステンレススチール製ケースまたは直径43mmのホワイトの酸化ジルコニウム・セラミック製ケースに搭載される。ディープブルーのグラデーション仕上げ文字盤と、非の打ちどころのない見事な調和を見せている。

↑ IWCシャフハウゼン「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・プロセット “プティ・プランス”」 Ref.IW329601 570万6800円/自動巻き(自社製Cal.82665)、毎時2万8800振動、60時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース(シースルーバックから見えるローターに『星の王子さま』のイラストを刻印したメダルをセット)&ブレスレット、EasX-CHANGE®システム搭載ラバーストラップ、両面反射防止加工を施したドーム型サファイアガラス、ディープブルーカラーの文字盤、ゴールドメッキの針。直径42.9mm、厚さ14.3mm。10気圧防水。
クロノグラフバージョンは直径43mmと直径41mmの2サイズで展開
『星の王子さま』モデルのクロノグラフからは2モデルが発表された。「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ “プティ・プランス”」(直径43mm/Ref.IW389410 196万2400円)と「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 “プティ・プランス”」(直径41mm/Ref.IW378011 116万7100円)である。両モデルは共通で、サンレイ仕上げのディープブルー文字盤に視認性の高いホワイトプリントのインデックスとアラビア数字を配し、スーパールミノバ®をコーティングした針をセット。そして搭載ムーブメントは、ハイクラスのクロノグラフを証明するコラムホイールを採用したIWC自社製造の「キャリバー69385」である。なお、直径43mmモデルは「Le Petit Prince」の文字とともに、月と2つの星に囲まれた『星の王子さま』のイラストが描かれたブルーの着色サファイアガラスバック仕様であり、直径41mmモデルは『星の王子さま』のイラストをレリーフしている。

↑ IWCシャフハウゼン「パイロット・ウォッチ・クロノグラフ 41 “プティ・プランス”」 Ref.IW389410 196万2400円/自動巻き(自社製Cal.69385)、毎時2万8800振動、46時間パワーリザーブ。ホワイトの酸化ジルコニウム・セラミックケース、チタンケースバック(『星の王子さま』のイラストを刻印)、EasX-CHANGE®システム搭載ラバーストラップ、両面反射防止加工を施したドーム型サファイアガラス、ディープブルーカラーの文字盤。直径41mm、厚さ14.5mm。10気圧防水。
スタンダードなマーク XXベースはステンレススチールまたは18Kレッドゴールドのケース
3針式の「マーク XX」モデルからは、ケース素材が異なる2つの「パイロット・ウォッチ・マーク XX“プティ・プランス」(Ref.IW328221またはRef.IW328301)が登場。ステンレススチールモデルは、ホワイトでプリントされたインデックスと数字を備え、高い視認性を確保 。ステンレススチール製のケースバックに、『星の王子さま』の愛らしい絵柄が刻印されている。もう一方の18Kレッドゴールドモデルは、アプライドインデックスも18Kレッドゴールド製で統一。ゴールドとブルーのコントラストが美しく、ブルーに着色されたサファイアガラスバックにイラストがあしらわれている。いずれもケース径は40mmで、120時間ものロングパワーリザーブを誇るIWC自社製造の「キャリバー32112」を採用。また、素早くストラップを交換できる「EasX-CHANGE®システム」を備えるブルーのラバーストラップにより、スポーティな印象にまとめられている。

↑ IWCシャフハウゼン「パイロット・ウォッチ・マーク XX“プティ・プランス」 Ref.IW328221 89万7600円/自動巻き(自社製Cal.32112)、毎時2万8800振動、120時間パワーリザーブ。ステンレススチールケース、ステンレスケースバック(『星の王子さま』のイラストを刻印)、EasX-CHANGE®システム搭載ラバーストラップ、両面反射防止加工を施したドーム型サファイアガラス、ディープブルーカラーの文字盤、ゴールドメッキの針。直径40mm、厚さ10.8mm。10気圧防水。
暗所において時計全体が24時間以上鮮やかに光るユニークなパイロット・ウォッチも登場
外装にも技術的なハイライトがある。「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュアル・カレンダー・セラリューム®」(Ref.IW505801)は、特殊ケースとともに、スーパールミノバ®を加工した文字盤とラバーストラップが暗がりでブルー系に発光する**、これまでにない特徴を持つ。しかもその光は24時間以上にわたって継続するという画期的な仕様なのだ。本機に使われているケースは、セラミック素材開発に40年の実績を持つIWCが、RCトリテック社の協力を得て開発した発光セラミックの「セラリューム®」製である**。太陽光や人工光を吸収し、可視光として再放出する機能を備えており、その製造はセラミック粉末とスーパールミノバ®顔料を専用のボールミル加工プロセスで均質にブレンドするという、極めて高度なマイクロエンジニアリングによって実現されている。
昼夜で“異なる表情”を見せる本機は、IWCのエンジニアリング部門である「IWC XPL(IWCエクスペリメンタル)」が基礎研究の成果として開発を手掛けた。その最先端モデルとして相応しいスペックを持たせるべく、摩耗の少ないセラミック部品で強化されたペラトン自動巻き機構、168時間のパワーリザーブ、そしてクルト・クラウスが発明した永久カレンダー機構の最新仕様を備えるIWC自社製造の「キャリバー52616」を搭載する。また、IWCのシグネチャーといえるダブルムーン®表示は、577.5年でわずか1日という極めて高い精度を誇る。なおこのムーブメントのローターには、「Probus Scafusia(プローブス・スカフージア)」の刻印に加えてスーパールミノバ®が塗布されたメダルがセットされており、暗闇ではサファイアガラスバックから幻想的に光るその姿を確認できる。

↑IWCシャフハウゼン「ビッグ・パイロット・ウォッチ・パーペチュア ル・カレンダー・セラリューム®」 Ref.IW505801 1105万600円/自動巻き(自社製Cal.52616)、毎時2万8800振動、168時間パワーリザーブ。セラリューム®発光ホワイトセラミックケース(シースルーバック)、発光ラバーストラップ、両面反射防止加工を施したドーム型サファイアガラス。直径46.5mm、厚さ15.9mm。6気圧防水。世界限定250本。
インヂュニアにはダークオリーブグリーン×レッドゴールドの高貴なバリエーションが追加
2025年のW&Wで話題をさらったインヂュニア。これをさらに充実化するべく、今年もインヂュニアから魅力的なニューモデルが登場した。その中でもWATCHNAVI Salonが注目するのは、ダークオリーブグリーンセラミックを纏う「インヂュニア・オートマティック 42」(Ref.IW338902)である。このカラーセラミックはインヂュニア初の試みであるうえ、アクセントとしてリューズに18Kレッドゴールド、ベゼル固定用のネジに硬度の高い「18 ct Armor Gold®」、そして針やインデックスをゴールドメッキで仕上げ、気品ある深いグリーンと絶妙なバランスを形成。軽快なフィット感で好評な一体型ブレスレットデザインのスポーティな名作に、新しい息吹をもたらす一本となっている。

↑IWCシャフハウゼン「インヂュニア・オートマティック 42」 Ref.IW338902 352万3300円/自動巻き(自社製Cal.82110)、毎時2万8800振動、60時間パワーリザーブ。オリーブグリーンセラミックケース(シースルーバック)&ブレスレット、両面反射防止加工を施したドーム型サファイアガラス。直径42mm、厚さ11.5mm。10気圧防水。
問い合わせ先:IWCシャフハウゼン TEL.0120-05-1868 https://www.iwc.com/jp-ja
※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/山口祐也(WATCHNAVI編集部)、Photo/嶋田敦之
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