独立系ブランド【アコール(AKHOR)】が「ルタン・エキリブル」コレクションにおいて、上下二層構造のダイアルと高精度ムーブメントを組み合わせた「ア・ドゥ・ムジュール(À DEUX MESURES)」のサービスをスタートした。本稿では改めて注目の未上陸ブランドの新サービスに触れながら、改めてデザインと精度の双方を追求した本コレクションの魅力を紐解く。
上下二層構造のダイアルを採用した手巻き式時計
「ルタン・エキリブル」は、上下二層構造のダイアルを採用するユニークな手巻き式時計である。特筆すべきは、上層ダイアルと下層ダイアルを個別に選択し、組み合わせるという構成を持ちながら、COSC認定クロノメーターおよびジュネーブ・シールを取得したムーブメントを搭載した点だ。造形における自由度と、機械式時計としての厳格な精度基準を同時に成立させることが、本コレクションの出発点となっている。
上層ダイアルと下層ダイアルは、それぞれ独立したパーツとして設計され、特許取得済みの上層ディスク浮遊システムによって重ね合わされている。上下層ともに用意されるカラーは、ホワイト、ブラック、ブラウン、ブルー、グリーンの5色となり、上層ダイアルにはサンレイ仕上げ、もしくはハニカムモチーフが施される。この構造を活かし、上下層の色とモチーフを自由に組み合わせできるのが、「ア・ドゥ・ムジュール」なる新サービスというわけだ。

同系色を組み合わせた場合には、仕上げの違いや層間の距離が強調され、異なる色を選択すれば、レイヤー構造そのものが明確な造形要素として浮かび上がる。色彩と質感、奥行きの関係性によって視覚的な印象が大きく変化する点が、本コレクションならではの個性となっている。
K18ローズゴールド製とステンレススチール製で楽しめる
表示は時・分・秒のみに絞られており、分針はゴールドカラーで先端に蓄光塗料を塗布。秒針も同色とされ、アコールのロゴを象ったカウンターウェイトを備える。複雑機構や日付けや曜日表示を排した構成は、二層ダイアルの立体的な構造を視認性の面からも際立たせるための選択といえる。ケースはK18ローズゴールド製とステンレススチール製が用意され、直径39mm、厚さ11mmというサイズは、造形的な個性を保ちつつ装着性を考慮したバランスに収められている。ポリッシュ仕上げのベゼル、内面反射防止加工を施したサファイアクリスタル、シースルーバック仕様を備え、ストラップはダイアル構成に合わせたカラーのハンドステッチ・アリゲーターレザーを採用。バックルにはケース素材と同一のデプロイアントバックルが組み合わされる。
時計の内部には、専用設計の手巻きムーブメント「キャリバーAK10」を搭載。COSC認定クロノメーターおよびジュネーブ・シールの双方を取得したムーブメントで、ストップセコンド機構とマスロット式フリースプラングテンプを備える。ジュネーブ・シールは精度のみならず、部品の仕上げ、組み立て、構造、さらにはムーブメントがジュネーブ州内で製造・検査されていることまでを含めて認定される、極めて厳格な品質基準として知られる。面取りや扇状のコート・ド・ジュネーブ、歯車の仕上げ、ケース形状に合わせて設計された専用ネジなど、本コレクションに施された装飾や構成はいずれも基準に則ったものであり、シースルーバック越しにその洗練を極めた姿を鑑賞できる。
上下二層という視覚的に強い構造を採用しながら、ムーブメントには最高水準の精度および仕上げ認定を与える。その両立を実現するために、ムーブメントの開発だけでも3年に及ぶ期間が費やされたという事実は、本コレクションが単なるデザイン先行のプロダクトではないことを物語る。「ルタン・エキリブル」は、外観の独創性だけでなく、機械式時計としての完成度を重視する愛好家の心も捉えるに違いない。
アコール「ルタン・エキリブル」 手巻き(Cal.AK10、COSC認定クロノメーター、ジュネーブ・シール取得)。ステンレススチールケースまたはK18ローズゴールドケース(シースルーバック)、アリゲーターレザーストラップ。サファイアクリスタル(内面反射防止加工)。直径39mm、厚さ11mm。3気圧防水。
Text/三宅裕丈
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