アブラアン=ルイ・ブレゲが1801年6月26日に特許を取得したトゥールビヨン機構は、2026年で225周年を迎える。スイスの名門ウオッチブランド【ブレゲ(BREGUET)】はこの記念すべき年に、創始者の革新的な精神を現代的に昇華させた複数のスペシャルモデルを発表した。重力の影響を克服するために考案されたトゥールビヨンは、今日も高精度を追求する時計製造の象徴として、進化を続けている。
初の腕時計トゥールビヨンを現代に受け継ぐ「7357」
ブレゲ・マニュファクチュールは長年にわたり、トゥールビヨンを単なる歴史的遺産として扱わず、さらに高い精度を追求するための技術的なプラットフォームとして磨き上げてきた。今回の新作群はどれも、過去の名機に対する深い敬意を基盤に置きながら、21世紀の洗練された審美感覚と先進的な素材技術を融合させた印象だ。
まず、最注目モデルとなる「クラシック トゥールビヨン 7357」は、1989年に発表された初の腕時計トゥールビヨン「Ref.3350」を直接継承するタイムピースである。搭載する「キャリバー187B」は歴史的な「キャリバー558」を徹底的に最適化したもので、手巻き式、振動数毎時1万8000回、60時間のパワーリザーブが特徴。耐磁性能を大幅に高めるため、針をゴールド製とし、ニヴァクロン製ブレゲひげゼンマイとシリコン製アンクルを組み合わせ、厳格なブレゲ・シールの認証も獲得している。プラチナ製とブレゲゴールド製の2種類をラインナップし、デザイン面では、2025年のブレゲ250周年記念コレクションのスタイルを踏襲しており、ラグは腕の自然な曲線に沿うように調整。18Kゴールド文字盤にはアラビア数字を配し、中央部にクル・ド・パリのギヨシェ彫り、周辺にグレ・ド・オルジュ(麦の穂模様)を施し、地板とケースバックにはマニュファクチュールの拠点となるジュウ渓谷の山並みをモチーフにした全く新しいギヨシェパターンを導入している。これにより、伝統の重厚さとモダンな軽やかさが高度にバランスした。
ブレゲ「クラシック トゥールビヨン7357」 Ref.7357BH/1H/386 2356万2000円/手巻き(Cal.187B)、毎時1万8000振動、60時間パワーリザーブ。18Kブレゲ・ゴールド製ケース(シースルーバック)、カーフレザーストラップ。直径35mm、厚さ8.9mm。3気圧防水。
ブレゲ「クラシック トゥールビヨン 7357」 Ref.7357PT/1A/386 2591万6000円/手巻き(Cal.187B)、毎時1万8000振動、60時間パワーリザーブ。プラチナ製ケース(シースルーバック)、カーフレザーストラップ。直径35mm、厚さ8.9mm。3気圧防水。
フライング・トゥールビヨンを搭載したブレゲ初の腕時計
一方、「クラシック トゥールビヨン シデラル 7255」は、天文学的ルーツをより強く意識した仕上がりだ。フライング・トゥールビヨンを搭載したブレゲ初の腕時計となり、プラチナケースにブラックのグラン・フー エナメル アベンチュリン文字盤を組み合わせ、ゴールド製チャプターリングをブラックで彩ったアダルトな佇まいが特徴となる。トゥールビヨン上のブリッジはロジウム仕上げのブレゲゴールド製で、ケ・ド・ロルロージュ模様のギヨシェ彫りを施した手巻きムーブメントを搭載。世界でわずか50本の限定の特別仕様となっている。
さらに進化した複雑機構を求める愛好家には、「トラディション トゥールビヨン フュゼ 7047」をお薦めしたい。1798年にブレゲが特許を取得したコンスタント・フォース機構とトゥールビヨンを融合させた意欲作で、プラチナケースとフレンチブルーの統一的なカラーリングが強い印象を残す。文字盤やブリッジ、鎖(チェーン)自体にも同色を採用し、グラン・フー エナメルダイアルにはアラビア数字と手彫りのシークレットサインを配置。ムーブメント全体にアイスブルーの装飾を施し、こちらは25本限定で展開される。
ブレゲ「クラシック トゥールビヨン シデラル 7255」 Ref.7255PT/2N/9VU 3752万1000円/手巻き(Cal.187M1)、毎時1万8000振動、50時間パワーリザーブ。プラチナ製ケース(シースルーバック)、アリゲーターストラップ。直径38mm、厚さ10.2mm。3気圧防水。世界限定50本。
ブレゲ「トラディション トゥールビヨン フュゼ 7047」 Ref.7047PT/YY/5ZU SL 4143万7000円/手巻き(Cal.569)、毎時1万8000振動、55時間パワーリザーブ。プラチナ製ケース(シースルーバック)、ラバーストラップ。直径41mm、厚さ16mm。3気圧防水。世界限定25本。
艶やかなプラチナケースに美しい夜空を閉じ込める
海軍時計師としてのブレゲの栄誉ある遺産を体現するのが、「マリーン トゥールビヨン エクアシオン マルシャント 5887」である。直径43.9mmのプラチナケースには、1801年6月26日のパリの夜空を夜光付きミニチュアペインティングで克明に描いた複雑な文字盤を搭載。均時差表示とパーペチュアルカレンダー、トゥールビヨンを組み合わせ、ケースバックには軍艦の精緻な彫金を施している。こちらは25本限定で、日付けや場所を選んだパーソナライズオーダーにも対応可能だ。
ブレゲ「マリーン トゥールビヨン エクアシオン マルシャント 5887」 Ref.5887PT/YS/5WVSL 4918万1000円/自動巻き(Cal.581DPE)、毎時2万8800振動、80時間パワーリザーブ。プラチナ製ケース(シースルーバック)、ラバーストラップ。直径43.9mm、厚さ約11.8mm。10気圧防水。世界限定25本。
今回の新作群は、トゥールビヨンの本質である「精度の追求」と「美の表現」を、現代的に再解釈した成果と言える。伝統の技法を大切に守りながら、素材選びや装飾表現に新しい解釈を加えるブレゲの姿勢は、時計愛好家に深い感銘を与えるに違いない。225年の歴史が育んだ重厚な深みと、未来を見据えた創造性が美しく調和した極めて魅力的なコレクションである。
問い合わせ先:ブレゲ ブティック銀座 TEL.03-6254-7211 https://www.breguet.com/jp ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。
Text/三宅裕丈
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