腕時計の人気機能、クロノグラフはスポーティかつメカニカルなデザインで人々を魅了してきた。現在までにいくつもの傑出したクロノグラフが開発されてきたが、そのトップに君臨する正統派後継モデルを取り上げるのが、“ウオッチナビ注目のクロノグラフ”。今回は、時計を知らない人でも一度は耳にしたことがある、ロレックス の「コスモグラフ デイトナ」を改めて取り上げる。
レーシング・クロノグラフの基本スタイルを確立
クロノグラフのヒット作に恵まれていなかったロレックスは、1959年に米国フロリダ州に完成したデイトナ・スピードウェイに目をつけた。同社にとって米国は巨大な市場であり、同年始まった24時間耐久レースを舞台に、一大戦略を仕掛けたのは想像に難くない。
1963年、タグ・ホイヤー カレラも生まれたクロノグラフの当たり年に、ロレックスはクロノグラフをモータースポーツ用と位置づけ、インダイアルに視認性の高い反転色を採用。文字盤内のタキメーターもベゼルに移動し、レーシングテイストを前面に押し出した。ライバルが先行した軍用や航空用とは異なる新機軸を確立したのだ。
手巻きムーブメントが3世代続き、第4世代で自動巻き化、第5世代で自社キャリバーを搭載。2016年にセラミックベゼル採用の第6世代が誕生した。
現在、その人気ぶりは凄まじい。俳優ポール・ニューマンが愛用した希少モデルは、2017年のオークションで腕時計最高記録となる20億円超で落札された。現行を正規店で購入したくても、まず店頭に並ばず、実質的に流通する物は、いわゆる正規価格の2倍を軽く超える。いまや世界有数のプレミアム価格で評価される〝買えないクロノグラフ〞となったのである。
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