トム フォードが厚さわずか2mmの腕時計用インターチェンジャブルブレスレットを発表

トム フォードが腕時計の展開を始めてから約2年。最初に発表した角形時計は“スタイルをまとう”という新たな価値観を世に提示し、高感度なファッショニスタのみならず目の肥えた日本の高級時計店のバイヤーの心さえも射止めた。プロダクトは、アメリカ・デトロイトを本拠とするベッドロックマニュファクチャリングとのパートナーシップにより、品質の確かなスイスで製造されている。一見するとシンプルなデザインも、ディテールへのこだわりは強い。その際たる特徴が引き通し型のストラップで、この度発表された新開発のブレスレットも工具不要で誰でも簡単に付け替えられるよう、極限まで薄さが追求されている。

 

驚きの薄さから漂うブランドの信念

トム フォード「N.001 ステンレススチールブレスレット」10万3400円(ポリッシュド/ブラッシュドステンレススチール)、15万7300円(ブラックDLCステンレススチール) 引き通し型。プッシュ開閉式バタフライ型ディプロイメントバックル。ラバー バックプレート。MとLの2サイズ展開

ブランディングにおいて最も重要なことの一つに「ブレない」ことがある。トム フォードは、タイムピースの製作で引き通し型ストラップになによりもこだわった。それゆえ、ケースはストラップをホールドするよう、両側のラグがループした一体形状を採用。時計本体ひとつあれば、異なるストラップを買い足し、付け替えながら長く愛用することができる。初期に用意された素材にはワニ革、ペブルグレイン、ポニー、編み込みカーフなど6種類があり、カラー違いを含めて50種類ものバリエーションを展開。こうした1本の時計で“スタイルを追求”するというトム フォードからの提案は、さほど月日を待たず世の中に受け入れられることとなった。

現在もトム フォード タイムピースのストラップのバリエーションは増え続け、スクエアとラウンドの2種類の形状で選べる時計本体と合わせれば、極めて多彩なコーディネイトが楽しめる。これにさらなる広がりを持たせるのが、今夏より加わるスクエアタイプN.001専用のSSブレスレットだ。これもまた時計本体と同じく、真正面から見るとスポーティな3連ブレスといったシンプルな出で立ち。だが、側面から見るとその厚さはわずか2mmと、極薄設計になっている。

バックルの片側のリンクが外せるようになっており、そこから薄型ブレスレットをストラップホールに通せる構造。ブレスレット両側のリンクは装着感に配慮し、肌に触れるエッジには面取りを施す

最近の腕時計はサイズの小径化、薄型化がトレンドではあるものの、引き通し型に対応したブレスレットというのはかなり斬新。とはいえ、もちろんトム フォードが時計界のトレンドを追うはずがなく、すべては2018年の1stウオッチ発表以降貫いてきたコンセプトをブレスレットで表現したまでのことなのだ。

筆者はかなり早い段階で試着させてもらったのだが(サンプル段階だったため撮影はNGだった)、スリムな形状のためかブレスレットでありながら腕に吸い付くようなフィット感が得られた。ケースと腕の間にあたる部分がラバーになっていることも装着感の良さに貢献しており、これなら長時間の着用でもストレスフリーだろうことは容易に想像がつく。高級時計ブランドのブレスレット単体に比肩する価格も納得の出来栄え。シンプルながら考え抜かれたこの新感覚のブレスレットに、多くの時計専門ブランドが嫉妬することだろう。

問い合わせ先:トム フォード タイムピース TEL.03-4360-5608
https://www.tomford.com/watches/