5日間駆動・耐磁・10年保証――人気時計ブランド「オリス」が自社製の自動巻きムーブメントを新開発
スイスのウオッチブランド「オリス(ORIS)」は1904年の創業以来、機械式にこだわりを持ち続ける稀有な存在といえる。とくに同社自社ムーブメントは、開発から製造まで一貫して行って機能にオリジナリティを持たせ、独自の道を歩んでいる印象だ。そのような技術力と実行力で魅力的なタイムピースを輩出している同社が、また新たなマニュファクチュールムーブメントを発表した。
自動巻き、5日間パワーリザーブ、耐磁、さらに10年保証
創業110周年を迎えた2014年、オリスは久々の自社ムーブメント「キャリバー110」を公開した。大型のシングルバレル(駆動源となる主ゼンマイを格納する歯車)を備える手巻き式で、10日間ものパワーリザーブを有する同ムーブメントは、その後に続くGMT機能付きやスケルトン化など、付加機能が与えられたバリエーションのベースとなった。しかし今回発表された自社ムーブメントはそれとはまったく異なるもので、ゼロから開発したという。
「キャリバー400」と名付けれらた新自社ムーブメントは、ユーザーに長く使ってもらうことをコンセプトに開発されており、通常オーバーホールは3~5年に一度と推奨されているところを10年毎とし、品質保証期間を10年にするという。5年の歳月をかけて具現化された本ムーブメントは、単に高性能を目指したものではなく、現代のライフスタイルに合わせて最適化したスペックが最大テーマとされた。その視点より、次のような特徴を備えている。
ツインバレル搭載による5日間パワーリザーブ
ユーザーのほとんどが毎日同じ時計を着けていないことに着目し、パワーリザーブを必要十分と思われる5日間としている。これを安定した精度でキープさせるべく、2日半ぶんのパワーを蓄えることができるバレルを2個設置し、合計5日間パワーリザーブとした。
10年間のオーバーホール推奨期間と保証
キャリバー400を搭載するコレクションは、メーカー推奨でオーバーホール期間が10年とされる。これは同価格帯モデルではトップレベルの長さで、品質に対する自信の表れといえる。さらにMyOrisに登録することで、10年間の保証が付与される。
ローターシステムの安定性向上
通常使用でのアクシデントを未然に防ぐため、自動巻きムーブメントでもっとも故障原因が多いとされているローターと繋がるボールベアリングシステムを、低摩擦のスライドベアリングシステムに置き換えた。これによって効率的かつ堅牢な構造となり、故障リスクが低減されている。
磁気耐性がパワーアップ
スマートフォンやパソコンなどが発する磁気の影響によって機械式時計は磁気を帯びてしまい、精度が乱れたり、針が止まってしまうこともある。これを防ぐべく、キャリバー400はシリコン脱進機やアンクルを採用し、ほかにも30以上の非鉄及び耐磁性パーツが使われている。
オリスが満を持して発表した自社製造のキャリバー400は、上記で紹介したようなハイスペックや高い保守性、そしてユーザビリティに優れているといえる。残念ながらまだ搭載ウオッチは公開されていないが、近いうちにビッグニュースがもたらされることだろう。オリスといえば、航空時計、ダイバーズ、モータースポーツ向けなど、多彩で魅力的なラインナップを揃えている。何よりもコストパフォーマンスで群を抜くブランドだ。果たしてキャリバー400はどんな時計に初投入され、価格は幾らか? 時計界にまたひとつ、目が離せない楽しみが増えた。