国産時計最高峰を自他ともに認める「グランドセイコー(GRAND SEIKO)」は、2020年は岩手県雫石町の盛岡セイコー工業内に新たな製造拠点「グランドセイコースタジオ 雫石」を開設するなど、積極性が話題となった。その理由のひとつが、ブランド誕生60周年という節目であること。この輝かしい歴史の1ページに、またもサプライズがもたらされた。
グランドセイコースタジオ 雫石に所属する時計師が黄綬褒章を受章
令和2年秋の褒章において、グランドセイコースタジオ 雫石の時計師・平賀 聡(ひらが さとし)氏が栄誉ある黄綬褒章を受章した。セイコーウオッチに入社以来、腕時計の組立工としての勤務し、1995年には「時計技能競技全国大会」で優勝したほか、その10年後の平成27年度には「卓越した技能者(現代の名工)」に選出されるなど、機械式時計の組立、調整、修理のスペシャリストとして活躍してきたことが評価されての受章となった。
そのような日本を代表する時計師が開発段階から参画し、組立や評価をしてきたのが、2020年に発表されたグランドセイコーのための次世代ムーブメント「キャリバー9SA5」である。そしてこのメカを搭載するのが、ブランドの設立60周年を祝うアニバーサリーウオッチ「グランドセイコー 60周年記念限定モデル ヘリテージコレクション メカニカルモデル」だ。
9SA5を初めてステンレススチールモデルに投入したリミテッド
新しい時代のグランドセイコーの旗艦ムーブメントとして開発されたキャリバー9SA5は、従来のハイビートムーブメント=9S8系から大幅にスペックアップを果たしている。一般的に高振動になればパワーリザーブが短くなってしまうところを、トルクロスを低減させる高効率な脱進機やツインバレル(動力ゼンマイを格納する香箱を2個設置)を採用することで、国産ムーブメントの最高レベル毎時3万6000ビートのまま、最大巻き上げ時のパワーリザーブを約80時間とすることに成功した。
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