1865年にスイスのル・ロックルで創業された「ZENITH(ゼニス)」は、多くの時計ファンが憧れる高級時計である。高く評価されている理由のひとつが、同社が生み出した傑作キャリバー「エル・プリメロ」の存在だろう。ドラマティックな軌跡をたどり、現在まで進化してきた同ムーブメントを搭載する希少な限定モデルがリリースされた。これをプロデュースしたのが、西日本を代表する正規時計ショップのトミヤである。
逸話によって彩られたエル・プリメロの物語
ゼニスが誇るエル・プリメロキャリバーは、1969年に世界初の自動巻きクロノグラフ専用ムーブメントとして開発された。しかし時代は高精度かつ安価なクオーツを求めており、その勢いに飲み込まれる形でエル・プリメロは1975年に製造を終えてしまう。同社技術者のシャルル・ベルモはスイスに伝わる機械式時計の伝統を絶やさぬため、エル・プリメロの製造器具や技術計画書を秘密裏に保管。およそ10年後、再び機械式に光が当てられるようになったことで、エル・プリメロはシャルル・ベルモが隠した“遺産”によって鮮やかに復活を遂げたのである。
その後は多くの時計愛好家が知るように、ゼニスのクロノグラフに搭載されたほか、ロレックスのレーシングウオッチ「コスモグラフ デイトナ」(1988年~2000年製)の初の自動巻きモデルのムーブメントとして使われるなど、他ブランドからも絶賛される名機として君臨し続けている。
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