腕時計の大敵と戦い続けるオメガの防水時計開発史
オメガの歴史は時計の大敵との戦いの歴史である。とりわけ20世紀に入り、腕時計が主流になってから問題となったのは、「水分の侵入」。この難敵に対し、オメガは二重ケース構造での解決を目論んだ。
1932年に発表した「マリーン」は、その構造のユニークさもさることながら、他社に先駆けてダイバーの手首にジャストフィットするよう、サイズ調整可能なクラスプも導入していたのである。さらに時代の要請から手がけることになった軍用品でも、優れた精度と耐久性、防水性を備えた腕時計を開発。イギリス軍や連合軍によってその性能が証明されると、終戦後には培った技術をもとに最初の「シーマスター」を発表した。
1957年には、「マスター三部作」のひとつとして本格的なダイバーズウォッチ性能を有する「シーマスター 300」が登場。1970年には、600mまで防水性能を引き上げた特別モデル「プロプロフ」を発表。回転ベゼルのセキュリティープッシャーを備えた異形のデザインは、海洋調査船「カリプソ号」に搭乗した探検家ジャック=イヴ・クストーとその仲間たちや、フランスの潜水会社のプロダイバーを中心に広く知られる存在となった。
1990年代に入るとオメガはハイスペックダイバーズ開発の経験を生かし、現在も製造が続く「シーマスター ダイバー300M」の初代モデルを1993年に開発。この時計は1995年以降『007』シリーズの主人公「ジェームズ・ボンド」の愛用時計として活躍。スーツにダイバーズウォッチを合わせるという新しいスタイルを、世界的に根付かせることとなった。
確固たる高性能を手に入れたオメガは、その後、独自のゴールドやセラミックの技術を使ってダイバーズウォッチの新たな可能性を創造。現在の「シーマスター」コレクションに揃うバリエーションは、まさに圧巻だ。
ダイバーズウォッチの新たな可能性を切り拓く
SEAMASTER
右/300m防水仕様の本格ダイバーズに、オメガ独自のK18 セドナ™ゴールドを合わせた意欲作。ブラックセラミック製ベゼルリングは、レーザー加工でダイビングスケールをレリーフ調に仕上げた。 左/主演を務めるダニエル・クレイグの意見も取り入れて開発された、映画『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』登場モデル。外装素材は軽量かつ堅牢なグレード2 チタンで300m防水、マスター クロノメーター仕様と実用性に優れる。
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