腕時計とモータースポーツは強い絆で結ばれている。20世紀初頭ともに黎明期を迎え、まるで競い合うかのように進化してきた。それはクルマの性能アップに合わせて、時計界は計時精度の向上で応える必要があったためでもある。勝利のために技術の向上に挑戦してきた両者の濃密な関係は数多くのエピソードを生み出し、その伝説は現在に続いているのだ。
腕時計とモータースポーツにスポットを当てる本連載の3回目は、【リシャール・ミル(RICHARD MILLE)】とリシャール・ミル・レーシング・チームの繋がりについて解説する。
《リシャール・ミル&リシャール・ミル・レーシング・チーム》
才能ある女性ドライバーにレースの門戸を広げる
「時計のF1」をコンセプトに、マシンに使用される先進的な素材や構造を駆使した革新的なタイムピースを次々と発表してきたリシャール・ミルは、レースと親和性の高いウオッチブランドの一社に挙げられる。2020年、同社の名を冠するリシャール・ミル・レーシング・チームがヨーロピアン ル・マン シリーズでデビューを飾り、同年9月のル・マン24時間レースではLMP2カテゴリーで9位、全体で13位という好成績を残した。しかも、3人のドライバーは全員が女性。リシャール・ミルらしい、前代未聞の挑戦だった。
レース展開は、全日本スーパーフォーミュラ選手権にも参戦中のタチアナ・カルデロンが素晴らしいスタートを切ってトップ10争いに加わった。2番手のソフィア・フローシュが9位に順位を上げ、ベイスク・フィッセールがポジションをキープ。中盤に上位10位から脱落したものの、終盤盛り返したのだ。
2021年も同じ女性ドライバー3人でFIA WECに参戦。リシャール・ミル・レーシング・チームが目指すは、もちろん表彰台である。
独創的なデザインとメカニズムのレディスウオッチ
タチアナ・カルデロンらがレースで着用したのは、「RM 007 レディス オートマティック」。シャープなケースが特徴で、地板にはブラックPVD加工を施したグレード5チタンを採用している。完売済み。
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