ダイビングやトレッキングなど、スポーツ、アウトドアシーンに対応する本格機能を備えたブランド【セイコー プロスペックス】。その最新作として、セイコーの長年にわたる“正確な時を計る”DNAを結集し受け継いだ、新生「スピードタイマー」がデビュー。希望小売価格は、メカニカルが33万円~35万2000円(税込)、ソーラーが7万4800円(税込)。ともに11月6日(土)発売予定。
1964年、国際スポーツ競技大会を成功に導いたセイコーの計器技術進歩
【セイコー】にとって1960年代は計器技術を大きく飛躍させた時期となった。特に1964年に東京で開催された国際的なスポーツ競技大会で初の公式時計を担当。その大会において、ストップ・スタート・ストップ機構に「ハートカム」を搭載したストップウオッチを導入し、それまで不可能とされていた0.01秒単位の高精度な計時を実現したのである。
しかしその道のりは決して平坦なものではなかった。というのも、大会に向けた機器の開発を開始した1961年頃、セイコーは月産6000個前後のストップウオッチを生産していたが、スポーツの計時用途に耐え得るものはなかったからだ。
当時、誤差が生じるのは仕方ないと考えられていたストップウオッチにあって、わずか3年間でそれを覆す開発を行い、イベントの成功に大きく貢献することとなったセイコーの計器技術の進歩スピードは感嘆に値する。
1969年、世界初の自動巻きクロノグラフ「1969 スピードタイマー」を発売
【セイコー】の計器開発はここで終わらない。国際スポーツ大会が東京で開催された1964年。その同年にストップウオッチ機能を腕時計に組み込んだ国産初のクロノグラフ「クラウン クロノグラフ」を発売。
そしてその5年後の1969年、垂直クラッチを搭載した世界初の自動巻きクロノグラフ「1969 スピードタイマー」を発売することとなる。垂直クラッチを採用することにより、スタート・ストップ時の指針ずれや針飛びを抑制し、耐衝撃性も向上するなど非常に優れた計時精度を実現することとなる。
新生「SPEEDTIMER」デビュー。セイコークロノグラフ開発史マイルストーンの名を受け継ぐ
このように【セイコー】にとって計器技術を大きく飛躍させることとなった1960年代。そこから半世紀以上の長きにわたって培ってきたセイコークロノグラフ開発史のマイルストーン「スピードタイマー」。
そして今回、その名を受け継ぐ新たなコレクションが【セイコー プロスペックス】に満を持しての登場。この新生「スピードタイマー」は、計時機器に求められる高い実用性を追求したデザイン哲学に基づき追加されたシリーズ作となる。
1964 ストップウオッチの設計思想と意匠を腕時計に昇華させた限定モデル
1964年の国際的なスポーツ競技大会で、公式計時のために開発された高精度ストップウオッチの設計思想やデザインを色濃く受け継ぐ世界1000本の数量限定モデルだ。
当時のストップウオッチを彷彿とさせる判読性の高いダイアルは無駄のない計測機器のDNAを最も忠実に継承したと言えるだろう。内部機構にはセイコーが新たに開発したメカクロノグラフムーブメント「キャリバー8R46」を搭載。
もちろんデザインやコンセプトだけでなく、腕時計としての実用性にもこだわる。まずクロノグラフ秒針は、ダイヤル外周のタキメーター目盛りまで届く長さを確保し、先端をダイヤル側に曲げることで目盛りとの距離を限界まで近づけ、判読性を極限まで追求。また、当時のストップウオッチに範をとり、プッシュボタンは押しやすく、リューズは引き出しやすい形状を追求することで、クロノグラフの重要な要素である優れた操作性も兼ね備えている。
さらに本作(Ref.SBEC007)には、高い装着性を誇るメタルブレスレットに加え、ブラックカラーの付け替え用カーフレザーストラップが付属。ストラップ裏側の縫目を隠す、コンシール加工を採用したことで、汗や皮脂による革素材の劣化を防ぎ、耐久性を高めている。
国産初のクロノグラフからインスピレーションを得たネオクラシックなレギュラーモデル
同タイミングに、1964年に国産初のクロノグラフとして登場した「クラウンクロノグラフ」からインスピレーションを得たネオクラシックなレギュラーモデルも登場。
限定モデルと同様の新キャリバー「8R46」とブレスレットを搭載。またシャープな形状の時分針、インデックスやチャコールグレー色のダイヤルに加え、ストップウオッチ機能の操作に用いるハンマー型のプッシュボタンと細部にまで作り込まれたこだわりを感じさせる。
「1969 スピードタイマー」を色濃く継承したコンパクトかつスポーティーなソーラークロノ
さらにソーラークロノグラフムーブメント「キャリバーV192」を搭載したモデルが4種のカラーバリエーションで登場。
メカニカル同様にクロノグラフ機能を持ち、世界初の自動巻きクロノグラフ「1969 スピードタイマー」の特徴的な造形を色濃く継承したコンパクトな39mmケース、カーブサファイアガラスを組み合わせ。当時のクラシカルさと現代のスポーティーなデザインを併せ持ち、腕元で確かな存在感を放つ。
1964年から2021年。時代を超え動き始めたセイコーの”正確な時間を測る”の技術と情熱
上記で見てきた通り、新生「スピードタイマー」の登場は1960年代より半世紀以上にも渡り培ってきたセイコークロノグラフ開発史において新たな時を刻もうとする試みだ。
近年【セイコー】はスポーツモデルのラインナップ拡充に力を注いでいる。特にグローバルブランドとして重要な位置付けである【セイコー プロスペックス】の展開スピードの早さには質・量ともに目を見張るものがある。
同ブランドはダイバーウォッチとしては、国内だけでなく国際的な認知度や評価も高く確かな地位は築けていると言える。しかしそこに甘んじることなく、次なるステップとしてクロノグラフというスポーツモデルとしての地位を築こうとしているのだ。
これは「スポーツモデル」と連想したときのイメージが根強いスイス勢ブランドと渡り合うため、従来から【セイコー】が持つシンプルで質実剛健のデザインから、ブランドとしてのバリエーションを広げさらなる飛躍を遂げるための過渡期なのかもしれない。
その第一歩として新たに始動した「スピードタイマー」が、2021年、つまり2度目の東京での国際スポーツ競技大会を終えたこのタイミングで発表されたことに【セイコー】の強い意気込みとドラマを感じざるを得ない。
1964年、初となる東京での国際スポーツ競技大会成功を収めることとなった当時の“正確な時間を測る”技術と情熱は、時代をまたぎ確かに受け継がれたのである。
問い合わせ先:セイコーウオッチ お客様相談室 Tel.0120-061-012
https://www.seikowatches.com
Text/WATCHNAVI編集部