《2022年の腕時計》70年も継続されるパイロットクロノグラフ【ブライトリング ナビタイマー】から目が離せない

1884年創業の高級時計ブランド【ブライトリング(BREITLING)】といえば、やはりパイロットウオッチのイメージが強い。それは航空クロノグラフ「ナビタイマー」の存在感が大きいためだ。そんな傑作は2022年、誕生から70周年を迎えた。

最初期のナビタイマーは、12時位置にAOPAのロゴを配していた

AOPAのために製作したナビタイマーは今年、デビューから70年

1952年、ブライトリング3代目当主のウィリー・ブライトリングが、飛行機の計器がまだまだ発達途上だったことから、パイロットが必要とするあらゆる航空航法計算が行える腕時計、すなわちナビタイマーのオリジナルを開発した。その2年後、腕に装備する計器として飛行士から高く評価された同クロノグラフは、AOPA(国際オーナーパイロット協会)の公式タイムピースに選定。この両者のパートナーシップがナビタイマーの価値を高めたのだった。

そして70年の時を経た2022年、アニバーサリーイヤーを飾るべく、ブライトリングとAOPAが再び手を取り合い共同で若いパイロットのための新しい奨学金制度「ブライトリング航空奨学金」(アメリカの青年がパイロット養成コースを修了するための費用を給付。願書の締め切りは2022年2月11日)の創設を発表。このコラボレーションについて、ブライトリングの現CEOであるジョージ・カーン氏は次のように語っている。

「当時、ブライトリングもAOPAも、パートナーシップの意義の大きさを想像することはできませんでした。しかし、このパートナーシップにより、単なる時計よりもはるかに大きな意義を持つ時計が生まれたのです。まさに象徴として」

一方、AOPAの現会長であるマーク・ベイカー氏は次のように述べている。

「ブライトリングとは、1950年代に初代ナビタイマーでパートナーシップを組んだことに始まり、長い歴史を共に歩んできました。この重要で強固な関係を維持し、よりエキサイティングなプロジェクトのための舞台を用意できることに、私は心躍らせています。ブライトリングがAOPAとジェネラル・アビエーションに貢献してくれていることに大変感謝しています」

 

ウィリー・ブライトリングがデザインしたのは、平均速度、移動距離、燃料消費量、上昇率など、パイロットが進歩的な飛行管理計算を行うことができる、いわば“プロフェッショナルのための計器”だった。ブライトリングが特許を取得したこの円形計算尺は、クロノグラフの回転ベゼルに組み込まれ、ナビタイマーが完成した。そのネーミングは「ナビゲーション」と「タイマー」を融合したもので、1954年にAOPA会員向けに発売されて好評を博した。

この最初のナビタイマーについてもう少し触れておきたい。AOPAの仕様に完全に合わせて設計・製造されたモデルだったこともあり、文字盤にはどこにもブライトリングの名前やロゴがあしらわれていない。その代わりにAOPAのロゴが存在感を放つ。その後、1950年代から1960年代にかけてナビタイマーは、軍および民間航空会社のパイロットのための時計として選ばれ続けた。1962年にはNASAの宇宙飛行士、スコット・カーペンターの専用時計として特別に改造したナビタイマーを用意し、実際に宇宙へと携行されるなど、エピソードに事欠かない。

1954年製のナビタイマーのオリジナルの個体。ブライトリングのロゴはなく、代わりに12時位置にはAOPAのロゴが確認できる

 

ナビタイマーの妥協のないスタイルと機能性に惹かれたのは、何も飛行士だけではなかった。1955年には市販モデルが出回ると、歴史上もっとも有名なジャズ・トランペッター=マイルス・デイビス、語り継がれるフレンチポップのシンガーソングライター=セルジュ・ゲンズブール、F1ワールドチャンピオンのジム・クラークやグラハム・ヒルなど、各界を代表する著名人たちにも愛用者が多かった。現在、彼らが愛したナビタイマーの初期ヴィンテージモデルは、価値あるコレクターズアイテムとして人気を博している。かつてAOPAの公式時計として採用された背景は、現在はもちろん未来のナビタイマーにとっても強い影響を与えるに違いない。

間もなくスタートを切る「ブライトリング航空奨学金」は、ナビタイマー誕生70周年を記念して計画されているコラボレーションの第一弾であり、この後もサプライズは続く模様。アイコニックなパイロットウオッチの歴史の1ページをどのように祝うのか、時計ファンとしては実に楽しみである。

 

Text/WATCHNAVI編集部

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