フルカレンダー文字盤はアール・デコスタイルの構成要素である「左右対称の美」を引き立てる。ボンベ文字盤は文字盤の中心から外端にかけてカーブを描くように設計され、インダイアルは立体感をもたらすために二枚の文字盤を貼り合わせるなど、細部に至るまでの作り込みに脱帽。インデックスの数字自体も盛り上がるよう印刷されており、視認性に貢献している。時針のリーフ針、分針のモダン針の組み合わせはKURONOを代表するデザイン。時分針はそれぞれ、両端にかけて曲面になっている。力強い時分針と対をなしているのが秒針で、カウンターウェイト付きで細く仕上げられているのが特徴。なお秒針と分針の先端は、手作業によって曲げられている。ガラスは古典的なアクリル風防のように優雅なカーブを描いた、傷に強いサファイアクリスタル製。ユニークなボックス型になっており、カランドリエ Type 1のためにデザインされた。通常のものより0.15mm高い形状になっている
浅岡氏の世界的な独立時計師としての技術と経験をベースに形作られた「カランドリエ Type 1」は、シブいカーキカラーの文字盤と、クラシックなコインエッジベゼルを特徴とするフルカレンダーウオッチである。2つのインダイアルはそれぞれ月(3時位置)と曜日(9時位置)を、そして小窓で日付(6時位置)を表す。古典的なブラックレターのアラビア数字インデックスやレイルウェイパターンなどを含めて見どころが多いが、これらのディテールはアイコンである針や左右対称の文字盤を引き立てるよう計算されたものである。
「カランドリエ Type 1」は、浅岡氏が友人と交わした何気ない会話から生まれたという。「もし無人島で暮らすことになったら何を持っていくか?」という話題になった際、本好きの友人は村上春樹の小説と言い、同氏は「時計」と答え、その時計に必要な機能を考え始めた。
浅岡氏が語るこの内容を具現化するべく、構成する文字盤、針、ケース、風防、そしてムーブメントに徹底してこだわり抜いたのが、「カランドリエ Type 1」となる。本機は2022年8月11日(木)にKURONO公式ホームページ(https://kuronotokyo.com/)にて発売予定。なお日本在住者は、日本時間18時から先行して購入可能となっている(海外一般販売は日本時間23時から)。
クロノ ブンキョウ トウキョウ「カランドリエ Type 1」 24万3000円/自動巻き(MIYOTA 9122)、毎時2万8800振動、約40時間パワーリザーブ。316Lステンレススチールケース、ボックス型サファイアクリスタル風防、カーフストラップ。直径38mm。5気圧防水。海外より発送
<浅岡 肇>2021年現在、世界で31人しかいないスイス独立時計師アカデミー(AHCI)正会員の一人。日本で初めて、歴史ある複雑機構「トゥールビヨン」を自社製ムーブメントに搭載した腕時計を発表。独立時計師として、デザインから、ほぼ全ての部品製造、組み立て、仕上げまで手掛ける「Hajime Asaoka TOKYO JAPAN」の時計は、年間製造本数10本前後。顧客には王室や世界的なコレクターが名を連ねる