スイスで技術を認められた日本人時計師が手掛けるル・ロックル伝統様式のプロトタイプウオッチが上陸

スイスはル・ロックル在住の日本人時計師、関口陽介さんの腕時計が日本に届けられた。日本の窓口となるのは、ご本人と長らく親交のある小柳時計店の店主。ル・ロックルに伝わる技術と様式美を重んじて創出された、至高の逸品について解説する。

数々の名門でキャリアを重ねた時計師渾身の一本

 

「プリムヴェール」というモデル名は、関口さんの自宅前で雪解けの時期に咲く花の名前に由来している。

「長らく手がけてきた一本が、ようやく陽の目を見るイメージや、プリムという言葉の語源が『初め』からきているというのも相応しい」と、関口さんは語る。

ムーブメントは時計師ユール・ヤーゲンセンが1800年代に手がけた設計を起源に持つ。控えめな仕上げは、ル・ロックルの伝統様式だといい、そこにジュネーブ様式のような煌めきはない。一方で面取りやシャトン留め、カーブを加えたコハゼ、受けを越えて伸びる緩急針など、見応えは十分。なお、製品版では耐震装置も付加されるという。

予価700万円と、決して安くはない。だが、プリムヴェールを手がけた時計師の生き様、キャリア、思考のすべてが投影された珠玉の一本は、まさしく現代の「シンプリシティ」という感想を持った。願わくば、関口さんと意気投合できる真の愛好家のもとに届いて欲しいものである。

「Yosuke Sekiguchi プリムヴェール」

1800年代のユール・ヤーゲンセンスタイルのムーブメント設計を取り入れたハンドメイドウオッチ。グラン・フーエナメル文字盤やコンカーブベゼルなど、外装への強いこだわりが伝わる。製品版では仕上げをはじめ多々の変更あり。直径39.5mmケース。

 

問い合わせ先:小柳時計店 TEL.0744-22-3853 https://www.koyanagi-tokei.com/

Text/Daisuke Suito

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