極上の響きを奏でる「ミニッツ・リピーター」&「ウルサン」の超独創的な腕時計を発表【ジェラルド・ジェンタ】

2024年、ルイ・ヴィトン傘下で復活を遂げた【ジェラルド・ジェンタ(Gérald Genta)】が最新コレクションを発表。創業者のジェラルド・ジェンタへのオマージュである「ミニッツ・リピーター」が世界限定10本で発売となり、「ウルサン」コレクションからも「ジェンティッシマ ウルサン 36 バーガンディ」と「ジェンティッシマ ウルサン 36 ブラックオニキス」の2モデルがリリースされる。

ジェンタが魅了されたミニッツ・リピーター

「ミニッツ・リピーター」はブランド創始者、ジェラルド・ジェンタの類まれな芸術性に捧げられたオマージュであり、同時に彼の哲学を現代へと響かせるタイムピースだ。40mm径のイエローゴールド製クッションケースは、優雅で柔らかな曲線を描き、その内部には深い光沢を湛えたオニキスのダイアルを収めている。この漆黒のオニキスは、ジェンタが生涯を通じてこよなく愛し、数多くの作品に採り入れたストーンダイアルへの敬意を宿すもの。ミニッツのインデックスは、内側部分が円を描き、外側部分はケースのフォルムを反映する形に描かれており、このユニークな意匠も見どころのひとつだ。そして搭載されるミニッツ・リピーター機構は、ジェンタが長年にわたり魅了され続けた複雑機構のひとつであり、1980年代にはいくつものモデル製作に挑戦している。その際、彼が何よりも重視したのは音色の純度であり、最高の響きを奏でるタイムピースを追い求めて、徹底的な探究を重ねた逸話が残っている。

今回、その精神を現代に継承し、具現化したのが、メゾンを代表する二人のマスター・ウオッチメーカー、エンリコ・バルバシーニとミシェル・ナバスだ。彼らはウオッチメイキング・アトリエ、ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトンにおいて、一から設計を起こし、完全自社開発の手巻き式ミニッツリピーター・ムーブメント「キャリバー GG-002」を完成させた。ミニッツリピーターにおいて音響設計は決定的な要素であり、バルバシーニとナバスはブラックポリッシュ仕上げのハンマーとゴングに細部までこだわり抜き、すべてのゴングを耳と手によって一本ずつ丹念にチューニング。部品ごとに切断や調整を繰り返すことで、最適な振動と振幅を導き出した。こうして生まれた伝統的な1回転式ゴングは、驚くほど明瞭で澄みきった音色を響かせ、腕時計という枠を超えた力強いチャイムを奏でる。

美しい響きを重視して設計された薄型ケース

本機のクッションケースは、ジェンタのシグネチャーである八角形のケースを進化させたものだ。その厚さは、わずか9.60mmという信じられないほどの極薄サイズに抑えられており、最も薄い部分はわずか0.6mm。また、サファイアクリスタルも通常の厚さ1mmから0.8mmへと薄型化されている。しかし、このサイズ感はただ薄さを追求しただけでなく、ケースウォールから内部構造に至るまで、すべてを音色のために設計されている。「これは小型のウオッチなので、音の広がりを向上させる余地はほとんどありません。音を最適化する方法を入念に検討する必要があり、その結果、このような薄いケースを作ることになったのです」と、ミシェル・ナバスは説明している。

「ミニッツ・リピーター」は、わずか10本の数生産となる。「キャリバーGG-002」の組み上げに4週間以上を要するという事実は、本機が大量生産とは無縁であることを雄弁に語る。精緻な手作業の積み重ねで生まれるタイムピースであり、ゆえにその響きを実際に耳にできるのは、世界でもほんの一握りの人々にすぎないのだ。

ジェラルド・ジェンタ「ミニッツ・リピーター」 Ref.EBFE01A1  価格要問い合わせ/手巻き(Cal.GG-002、自社製)。80時間パワーリザーブ。イエローゴールド 3N製ケース、ブラックシープレザーストラップ。直径40mm、厚さ9.6mm。

“ウニ”をデザインモチーフとする「ウルサン」

「ウルサン」コレクションは、球体のフォルムに無数のビーズを散りばめた独特の造形を特徴とする。モデル名はフランス語で “ウニ”を意味し、そのトゲトゲの姿がデザインモチーフとなっている。今回、このユニークなコレクションからも2つのモデルが発表された。まず、「ジェンティッシマ ウルサン 36 ブラックオニキス」は、深淵を思わせるブラックオニキスのダイアルに、鋭く尖ったゴールドビーズを組み合わせることで、クールでありながらも挑発的な美を表現。イエローゴールド3N製ケースにはガラスブラスト加工が施され、その外周に、職人が手作業で223個のビーズをひとつずつ丁寧にネジ止めしている。希少なブラックのエキゾチックレザーストラップが全体の印象を一層引き締め、重厚な漆黒の世界に洗練を添えている。

一方、「ジェンティッシマ ウルサン 36 バーガンディ」は、ジャーマンアイリスを想起させる深みあるバーガンディの色調をまとい、豊かな気品と個性を宿したタイムピースだ。真鍮製ダイアルには八角形のギョーシェ模様が施され、光の角度によって異なる表情を見せ、そこに重なるローズゴールドの温かな輝きがロマンティックな余韻を漂わせる。ケースにはローズゴールド4Nを用いて、マットなガラスブラスト仕上げが柔らかな質感を演出。ベゼルからケースに至るまで、緻密にあしらわれたビーズが光と影のコントラストを際立たせ、さらにバーガンディのレザーストラップが文字盤と美しい調和を奏でる。

両モデルの心臓部には、50時間のパワーリザーブを備えるムーブメント「キャリバー GG-005」を搭載。名機「ゼニス エリート」をベースにローターを見直し、効率と美観を高めたムーブメントだ。裏ブタはサファイアクリスタル仕様となり、美しく精緻な「キャリバー GG-005」の動きを目にするたびに、所有する喜びが一層深まるはずだ。

ジェラルド・ジェンタ「ジェンティッシマ ウルサン 36 ブラックオニキス」 Ref.EECE02A1  価格要問い合わせ/自動巻き(Cal.GG-005)、毎時2万8800振動、50時間パワーリザーブ。イエローゴールド 3N製ケース(シースルーバック)、カーフレザーストラップ。直径36.5mm、厚さ9.6mm。

ジェラルド・ジェンタ「ジェンティッシマ ウルサン 36 バーガンディ」 Ref.EECD01A1  価格要問い合わせ/自動巻き(Cal.GG-005)、毎時2万8800振動、50時間パワーリザーブ。ローズゴールド 4N製ケース(シースルーバック)、カーフレザーストラップ。直径36.5mm、厚さ9.6mm。

 

問い合わせ先:https://www.geraldgenta.com/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。限定モデルは完売の可能性があります。

Text/三宅裕丈

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