ケースやダイアルのデザイン・素材など、時計の魅力を決定する要素は数多く存在するが、時計ファンならその心臓部であるムーブメントに注目したいもの。そこで、本特集では人気ブランドについて、[ムーブメント概要=全体像][基幹=主力ムーブメント][最新&注目のムーブメント]について詳細を解説。時計内部の知識が深まれば時計の真価もさらに理解できるはず。今回はA.ランゲ&ゾーネをピックアップ!
A.ランゲ&ゾーネ(A. LANGE & SÖHNE)
機構の独自性と革新性に加え芸術的な完成度も秀逸
1990年のブランド復興後、初コレクションとなるランゲ1などから数えて、最新キャリバーL122.1まで69種類の自社製ムーブメントを製造。すべてのムーブメントは自社で設計・製造されており、グラスヒュッテの伝統技法を継承しつつ、革新的な独自機構を搭載。手彫りで秀麗な模様が施されたテンプ受けをはじめ、すべて手作業で丁寧に装飾が施されたアートピースのような美しいムーブメントが特徴だ。
基幹ムーブメント
復興後の第1弾モデルとして発表された「ランゲ1」の初代ムーブメントCal.L901.0の後継機として、2015年のランゲ1リニューアル時に誕生した手巻きムーブ。アウトサイズデイトは瞬時に切り替わる方式に、ひげゼンマイは自社製、緩急(精度調整)方式は自社製フリースプラングテンプへ変更など、各種の改良が加えられている。パワーリザーブ72時間。Cal.L121.3はムーンフェイズが付く。
主な派生ムーブメント
Cal.L121.3
複雑に入り組んだアームやブリッジなど、立体的な造形が「芸術品のよう」と称される同社の手巻きクロノムーブメントの名作。「ダトグラフ・アップ/ダウン」などに搭載される現行ムーブで、1999年に登場した第1世代のクロノグラフキャリバーL951.1がパワーリザーブ36時間だったのに対し、60時間へと大幅に延伸。6時位置にパワーリザーブ表示も追加されている。
毎正時から14分間(クオーターゴングが不要)、時と分のゴングの間が空くのを防止する機構など、独創の技術を採用した手巻きミニッツリピータームーブメント。ゼンマイからテンプへ連なる歯車列(ムーブ左側)や、特許機構のミニッツリピーターのハンマーブロッカー(ムーブ右側)など、機構の動きを存分に堪能できる。パワーリザーブ72時間。
搭載モデル「リヒャルト・ランゲ・ミニッツリピーター」
問い合わせ先:A.ランゲ&ゾーネ TEL.0120-23-1845
https://www.alange-soehne.com/
◎本記事は『ウオッチナビ 2022 Summer Vol.86』より抜粋・編集しています。
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