19世紀末のアメリカで、宝石商ウェブスター・クレイ・ボールが鉄道の安全な運行を促す高精度な鉄道時計の検査システムを構築した。これを始まりとするタフで実用的な機械式時計を得意とする【ボール ウォッチ(BALL WATCH)】が、フラッグシップシリーズの最新作「エンジニア ハイドロカーボン EOD」をリリースした。普段使いはもちろんアクティブなシーンにも耐える、まさに同社の理念を具現化した本機について機能やディテールを掘り下げて解説する。
シンプル&タフだから一生添い遂げられる3針時計だ
「時間」と「時計」の側面からアメリカ鉄道の発展に貢献した歴史を持つボール ウォッチ。「頑丈で信頼性の高い鉄道時計」という出自に現代的な解釈と最新技術を加え、機械式時計のタフネス記録を更新し続けている。最新作も語りどころの多いモデルだが、その前にまず2017年発表の「デブグル」に触れておきたい。
「デブグル」は、ボール ウォッチのR&D部門「パトリック・ラボ」部門長のフィ・ヴァン・トラン氏が手がけた革新的なタイムピース。ムーブメントを合成樹脂で取り囲むように保護し、リューズ周りにも改良を加えるなどの設計により、なんと10m上空からコンクリート面への落下にも耐えたという実績も誇った。そして、この技術をさらに発展させたものこそが、今回の主役「EOD」である。
アメリカ軍の爆発物処理部隊(上写真)の着用を想定して作られた本機は、「スプリングロック」「スプリングシール」「衝撃緩和構造」の3大特許技術を踏襲しながら、リューズガード周りをさらに改良。防水性能を300mに引き上げるなど、タフ性能の信頼性をいっそう高めた。さらにミューメタル製インナーケースの採用で8万A/mの耐磁性能も実現。マイナス45度から80度の温度変化耐性も持ち、都市部だけでなく過酷な環境下でも正確な時刻を示すという。
これほどのスペックがあれば、どれだけハードに使い倒す想定であっても期待に応えてくれることは間違いない。まさしく一生添い遂げられる一本なのだ。
高性能な自社製キャリバーの精度を徹底的に維持する鉄壁の守り
ボール ウォッチ「エンジニア ハイドロカーボン EOD」 Ref.DM3200A-S2CJ-BK 57万2000円
10m上空からの自然落下に耐えるほか、耐磁性能、防水性能も引き上げた最高峰タフウオッチの最新形態。外装の主素材にチタンを使い、ブレスレットの中ゴマには鏡面のステンレススチールを採用。逆回転防止ベゼルにセラミックを配す。
スペック:自動巻き(Cal.RR1101-CSL)。グレード2チタンケース、チタン+ステンレススチールブレスレット、サファイアクリスタル風防(反射防止加工)。直径43mm、厚さ13.7mm。30気圧防水。
問い合わせ先:ボール ウォッチ・ジャパン TEL.03-3221-7807 https://www.ballwatch.co.jp/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。
Text/水藤大輔(WATCHNAVI) Photo/山口雅則
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