<取材協力>
オーデマ ピゲ
時計好きには言わずと知れた雲上ブランド、オーデマ ピゲ。2023年はロイヤル オーク オフショアの誕生30周年というアニバーサリーイヤーが大きな話題を呼んだ。また2019年から展開が始まり、まもなく5周年を迎えるCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲにも新たな動きがあった。これ以外にもマーベルやマシュー・ウィリアムズなどとのコラボレーションや“ユニヴェルセル”の復活とGPHGグランプリ受賞、そしてフランソワ-アンリ・ベナミアス氏の勇退とプロダクト以外にもさまざまなトピックスがある。これら一連の動きを総括しながら、2024年以降のブランドの展望について考察する。
2023年2月:質実ともに他を圧倒する新作を発表
オーデマ ピゲは2月の時点でこの年のトピックスを象徴する新作を早くも披露した。最注目はロイヤル オーク オフショアの30周年である。ビーストと呼ばれた初代モデルの復活に加え、ブラックセラミックとイエローゴールドのコンビモデルが登場する。
CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲにはステンレススティールケースを用いた3針とクロノグラフ、合計6型が一挙加入。同コレクションからはジュウ渓谷の至宝にして時計界のマスターピース“ユニヴェルセル”を腕時計サイズで甦らせた「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル(RD #4)」も披露された。コンプリケーション繋がりでは、ロイヤル オーク コンセプトからブランド初となる自動巻きスプリットセコンド フライバック クロノグラフでもメディアの度肝を抜いた。
このように2月時点で多くの話題を提供したオーデマ ピゲだが、もちろんこれでおとなしくなるわけもなく、4月には再びロイヤル オーク オフショアから発表。アーノルド・シュワルツェネッガーとコラボした1999年製作の「エンド オブ デイズ」限定モデル(Ref.25770SN )にインスパイアされたこのモデルの復活は、オーデマ ピゲが時計製造におけるセレブとのコラボレーションの先駆けとなった歴史を改めて世界に知らしめることとなった。
さらに翌月にはドバイにて、2021年のブラックパンサー以来、マーベルコラボ第2弾となるスパイダーマンをロイヤル オーク コンセプトより発表。これのユニークピースのほか、APハウス ロサンゼルスのオープンイベント参加権、マーベルのヴィンテージコミック3冊セットがオークションにかけられ、850万ドルという合計落札額を記録した。なお、このオークションは社会の変化を求める若者たちの運動を支援する2つの非営利団体「ファーストブック」と「アショカ」への寄付が目的。こうした社会貢献の姿勢に心打たれる人も多いのではないだろうか。
2024年下半期:コラボレーションと新展開
そして7月にはまた新たなパートナーとのコラボレーションモデルをロイヤル オークとロイヤル オーク オフショアから発表する。オーデマ ピゲと共作したのは、アメリカのデザイナーで1017 ALYX 9SM創設者のマシュー・ウィリアムズ。完成したモデルはミニマリズムを徹底したダイアルが強い個性をもたらす、逆説的なデザインが特徴。すでに時計界のアイコンとして認知されている腕時計だからこそ、より魅力的に映えるデザインとも言えるだろう。このモデルでもユニークピースが製作され、今度は東京にてオークションを開催。このときの落札額はオーデマ ピゲ財団とマシュー・ウィリアムズの提案により「キッズ イン モーション」と「ライト トゥ プレイ」というNGOの活動に役立てられることとなる。
いくつかの希少モデルを発表した9月には、ジュネーブ空港も近いメイラン地区に外装の製造などが行われる新たなビルの建設着工をプレスリリースにて世界へ配信。2025年中の竣工を見据えた拠点は、ブランドのさらなる発展を予感させるのに十分だった。そして10月、今度はCODE 11.59 バイ オーデマ ピゲから直径38mmのモデルが登場。これまで41mmを主体に42mmとの2サイズでのみ展開されてきた人気作のバリエーション追加により、さらなる可能性を広げることとなった。
まさに破竹の快進撃を続けてきたオーデマ ピゲは、その勢いのままに時計界のアカデミー賞とも称されるジュネーブウオッチグランプリにおいて、「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ ウルトラ コンプリケーション ユニヴェルセル(RD #4)」で最優秀賞である“金の針賞”を獲得。その壇上でフランソワ–アンリ・ベナミアスCEOは「この勝利をチームと、私の後継者となるイラリア、ジャスミン・オーデマ、そして私をサポートしてくれた創業者一族に捧げたい」と述べていた。
オーデマ ピゲの今後の展望予測
こうして最高の一年の締めくくりを迎えたオーデマ ピゲは、2024年以降、イラリア・レスタ新CEO指揮のもとでさらなる発展を遂げていくことになるだろう。先述したようにメイランの新拠点は2025年に完成するのだが、この年はオーデマ ピゲの創業150周年という大きな節目でもある。
コロナ渦中に発生した世界的な時計ブームは2022年にピークを過ぎたが、そのような情勢とは無関係に同社のタイムピースは長らく入手困難な状況が続いている。どのモデルであろうと1本あたりにかかる作業工程数と製作時間を考慮すれば、人と設備にいくら投資を重ねようとも劇的に製造本数が増えるものではないことは容易に想像がつく。だが、簡単には手に入らないからこそオーナーになったときの喜びは無上であり、それを経験するためにオーデマ ピゲの時計を目指す人は今も世界中で後を絶たない。この状況は今後も変わることはないだろう。
それほどまでにオーデマ ピゲという存在は特別なのだが、日本では一般の人でも気軽に足を運べるエデュテイメント施設を世界に先駆けてオープンするなどフレドリーな一面を持ち合わせている。この姿勢もまた、多くの人々がブランドを愛してやまない理由のひとつなのである。
問い合わせ先:オーデマ ピゲ ジャパン TEL.03-6830-0000
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Text/Daisuke Suito(WATCHNAVI)
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