空のミッションタイマー「G-SHOCK グラビティマスター」にスリム&軽量なユーティリティモデルがテイクオフ

<取材・撮影協力>
G-SHOCK

G-SHOCKの中でもMASTER OF Gは、陸・海・空の過酷な環境に対応するために開発されたプロフェッショナル向けシリーズ。そのうち“空”を舞台にした究極のタフモデルが「グラビティマスター」だ。およそ4年ぶりに誕生した新型「GR-B300」は、空への憧れを具現化し、先進的なデザインと実用性を兼ね備える傑作に仕上がっていた! その魅力を、ディテールや先代モデルとの比較を通して解説する。

約4年ぶりに登場した「グラビティマスター」は小型&軽量化で実用性や装着感がアップ

 

新型グラビティマスターGR-B300は、大空を自在に駆けるパイロットのための腕時計。航空産業に関わりの深いカーボンファイバーを使用したカーボンコアガード構造と、直感的な判読が求められるパイロットのニーズを満たすため、3層構造の大口径ダイアルを採用した精悍なルックスが特徴だ。スマートフォンと連携し、時計のボタン操作で現在の時刻と位置を専用アプリの地図上に記録でき、これはフライトログとして出発・到着時刻や離発着地などを管理するのに役立つ。こうした高い機能性は、男たちの冒険心を強く刺激するに違いない。

その一方で、新型GR-B300の最大の個性ともいえるのが“小型&軽量化”。カシオ開発チームがサイズダウンに挑んだ過程は、世界に名だたる超高級時計ブランドと変わりない。すなわち、パーツひとつひとつのサイズを極限まで削り落とし、素材の強度や重さのバランスを取っていく、まさに気の遠くなるような地道な方法だ。実際にGR-G300は、ケースもダイアルもパーツが細かく分かれており、それぞれが巧妙かつ精巧、そして徹底的に合理化されている。たとえば、複雑なベゼル形状を一体成型し、その下層にメタルとウレタンのリングパーツを組み合わせることで、異素材を融合したレイヤーガードストラクチャーを実現。さらに、航空機の機体にも使用されるカーボン素材を活用し、耐衝撃性、剛性、耐劣化性を兼ね備えたケースを作り上げた。このカーボンコアガード構造により、強度と軽量性を高いレベルで両立。しかも、これらケース、ベゼル、ストラップの主要な樹脂パーツに、再生可能な有機資源から作ったバイオマスプラスチックを採用しており、環境に配慮した持続可能な開発への取り組みも進めている。

新旧グラビティマスター比較。日常使用で取り回しのいい新たな選択肢に!

グラビティマスターは、常に進化を続ける航空時計の代名詞。2020年に登場した先代GR-B200のうち現在も継続販売されるGR-B200-1AJF(右)と、新しいGR-B300-1A4JF(左)のサイズとデザインを比較してみた。

操作性と装着性を高度に両立しつつコンパクト化


↑先代GR-B200もカーボンコアガード構造を採用しており、耐衝撃性に優れた軽量設計。だが、新型GR-B300は細分化されたパーツ設計などにより、小型化と視認性のさらなる向上を果たした。また、新型は縦が4mm小さくなったのに対して、逆に横は0.6mm大きくなるなど、ただ単にサイズを縮小したのではなく、操作性と装着性のバランスを取っている点も好感が持てる。

デイリーユースでスリム化と軽量化を実感


↑先代GR-B200は、方位、高度/気圧、温度計測、歩数計測が可能なクワッドセンサーを搭載していることもあって、ある程度はケースに厚みが必要だ。そのためケース厚は先代GR-B200が18.3mmを確保するのに対して、センサーを省いた新型GR-B300は15.7mmと劇的に薄くなった。実際に腕に載せれば、明らかにスマートになったことを実感するレベルだ。しかも質量は先代が80g、新型が71gと、こちらも軽量化を体感できる。

フロントライトボタンの廃止でスタイリッシュに


↑カーボンファイバーをインサートした先代GR-B200のベゼル部は耐摩耗性に優れ、精悍なルックスが強烈なインパクトを放つ。ヘリコプターの操縦桿をモチーフに右サイドに配した3つのボタンも印象的だ。対して新型GR-B300は、ケースの薄型化と立体的なダイアルを両立した点が素晴らしい。フロントライトボタンを廃して、ライト点灯機能を右上ボタンに割り当てた結果、見た目もすっきりした。


<新作>
GR-B300-1A4JF

<先代>
GR-B200-1AJF
横(3時 – 9時位置) 54.7mm 54.1mm
縦(12時 – 6時位置) 59mm 63mm
厚さ 15.7mm 18.3mm
質量 71g 80g
搭載機能 ●タフソーラー
●Bluetooth
●フライトログ
●クワッドセンサー(方位、高度/気圧、温度、歩数の計測)
●Bluetooth
●ミッションログ

過酷な環境下で活動するプロフェッショナルに向けた、同じグラビティマスターとはいえ、味付けが大きく変わった。クワッドセンサーをはじめ、多機能を凝縮した先代GR-B200に対して、新型GR-B300はそのタフネスを継承しつつ、より日常的な機能性とユーザビリティ、環境への配慮など、多方面に進化を遂げたモデルなのだ。航空時計としての実用性とスタイルを追求するユーザーにとって、新型GR-B300は新たな選択肢を提示してくれる。

 

精緻な外観から漂うデザインは次世代航空機にインスパイア

新型GR-B300のシームレスな一体感のある造形は、次世代航空機の有機的なフォルムをモチーフに、ケースからストラップにかけて滑らかに面を連続させて形作られたもの。奥行きのある3Dダイアルや、6と12をアラビア数字とした航空スタイルの大型インデックスも、パイロットウオッチに重要な瞬時の視認性確保に貢献している。メタルリングとベゼルの稜線を外側に置くことで、ケースを小型化しながらワイドフェイスを実現した点も特筆すべきだろう。そしてカラーリングは、ブラックとホワイトのハイコントラストな配色を基本に、コックピット計器の夜間照明灯に多用されるレッドと、HUD(ヘッドアップディスプレイ)の表示色をイメージしたブルーのバリエーションが用意されている。


↑ダイアル表示でユニークなのが、9時位置のディスク針だ。ジェットエンジンのタービンのようにも見えるデザインで、それを分解したのが上の写真。針が回転するかわりにメタル部が回り、その下に3枚のプレートが格納されている。


↑このディスク針はアラームのON/OFF機能やストップウオッチなどの回転表現に加え、バッテリーインジケーターとしても機能するなど、モードごとに連動した役割を持つ。デュアルコイルモーターによって変幻自在に回転する様子は、見ているだけで楽しい。


↑6時位置のサブダイアルに、メイン時分針の時刻表示とは異なるタイムゾーンの時刻を表示できるデュアルタイム機能を搭載。その右上の小さなダイアルは、12時間制のデュアルタイム表示が昼か夜かを示している。都市設定は専用アプリで簡単に行えるほか、右上ボタンを3秒以上押し続けるだけでメイン時刻とデュアルタイムを入れ替えることも可能だ。


↑パイロットがグローブを装着したままでも押しやすいよう大型ボタンを採用。右上ボタンには、注意を喚起するコーションマークをイメージさせるアンチスリップデザインが施される。ボタン下のガードをなくすことで操作性も向上した。

 

新グラビティマスターが登場し、MASTER OF G 陸・海・空の新世代モデルが出揃った

MASTER OF Gは開発段階で、過酷な現場で働く人たちに使い勝手や機能面の要望をヒアリングし、リアルに役立つプロ仕様に仕上げられているのが特徴だ。1993年のフロッグマンを起点に“海”から始まったMASTER OF Gの歴史は、そのフィールドを陸と空に広げ、特殊な機能やデザインを備えたモデルを展開してきた。“陸”のジャンルでは、2023年にはマッドマンとマッドマスター、2024年にレンジマンがそれぞれ新世代に移行。“海”でもフロッグマンが2021年に、さらにMR-G フロッグマンも2023年に登場。最近4年間は“空”に新しい動きがなかったが、新型グラビティマスターGR-B300の登場で、ついに陸・海・空の新世代モデルが出揃った。いままさにMASTER OF Gは進化のピークにある。

 

陸:高度なメタル外装を手に入れた「マッドマスター GWG-B1000」

デジタル表示のマッドマンに対して、同じくマッドレジスト構造を備えたアナログとデジタルのコンビ表示がマッドマスター。2023年に登場したマッドマスターGWG-B1000は、従来の堅牢性と実用性を継承しながら、金属による高い質感と腕なじみのいいサイズ感を追求したフラッグシップモデル。カーボン繊維強化樹脂ケースと、高精度な鍛造成型技術であるMIM(メタルインジェクションモールディング)によるメタル素材を融合したハイブリッドな外装に、トリプルセンサーとスマートフォンリンクを搭載して機能性を高めている。


G-SHOCK「マッドマスター GWG-B1000-1AJF」 12万1000円/クオーツ(Bluetooth搭載電波ソーラー)。ステンレススチール+カーボン繊維強化樹脂+バイオマスプラスチックケース、バイオマスプラスチックバンド。縦58.7×横52.1mm、厚さ16.2mm、質量114g。20気圧防水。

 

陸:心拍計とGPS機能を追加搭載した最先端の「レンジマン GPR-H1000」

2013年にG-SHOCKで初めてトリプルセンサーを搭載したレンジマンは、究極のサバイバルタフネスを目指したシリーズ。その3代目GPR-H1000は、方位・気圧/高度・温度が計測可能なトリプルセンサーに加え、心拍計を測定できる光学式センサー、歩数など活動量を計測する加速度センサー、方位補正に役立つジャイロセンサーの6つのセンサーとGPS機能を搭載。トレッキングやトレイルラン、バイクなど、9種類のアクティビティにも対応しており、フィールド活動を強力にサポートしてくれる。


↑G-SHOCK「レンジマン GPR-H1000-9JR」 6万6000円/クオーツ(GPS+6センサー+ソーラーアシスト充電)。バイオマスプラスチックケース+カーボン繊維強化樹脂ケースバック、ボタンガード/センサーカバーステンレススチール、バイオマスプラスチックバンド。縦60.6×横53.2mm、厚さ20.3mm、質量92g。20気圧防水。

 

海:200m潜水用防水を誇る最強ダイバーズ「フロッグマン GWF-A1000XC」

1993年にデビューした初代フロッグマン以後も、機能・デザインの両面で多彩な進化を遂げながら、ISO規格に準拠した200m潜水用防水と左右非対称フェイスは現在も受け継ぐ。そのアイデンティティを堅持しながら、意外にも歴代フロッグマン初のフルアナログとなった現行GWF-A1000の、カーボンコンポジットバンド仕様がGWF-A1000XC。積層カーボンを採用したベゼルの一層だけをオレンジとし、文字盤にも差し色として使用。日常生活とダイビングシーンをシームレスに切り替えられる。


↑G-SHOCK「フロッグマン GWF-A1000XC-1AJF」 17万7100円/クオーツ(Bluetooth搭載電波ソーラー)。カーボン繊維強化樹脂ケース、カーボンコンポジットバンド。縦56.7×横53.3mm、厚さ19.7mm、質量140g200m潜水用防水。

 

プロが生死をかけた任務に付随する装備品に、一時的なデザインの流行が入り込む余地はない。形状のすべてに合理的な理由があり、無駄のない形態や構造を追求した結果、自然に生まれた冷徹なまでの美しさを備える。これが究極の“機能美”だ。その意味でも、MASTER OF Gは最も研ぎ澄まされた機能美を有する腕時計といえる。

その中でダイバーズウオッチがISO(国際標準化機構)やJIS(日本工業規格)で明確に定義され、フロッグマンがそれに準拠しているのに対して、パイロットウオッチには世界共通の定義がない。唯一、ドイツ国内ではTESTAF(テスタフ)が開発され、それを基に2016年に発効したドイツ工業規格DIN8330で、パイロットウオッチの標準規格が定められた。これには機能性、耐久性、安全性、操作性など多くの規定があり、気密性に優れたケースや高い耐G性能、グローブを着けたまま操作可能なことも必須条件だが、新型グラビティマスターGR-B300なら余裕でクリアできるはず。ただし、一般的なG-SHOCKの使用可能な温度範囲が−10~+40℃なのに対して、DIN8330では−15~+55℃で一定の精度が要求されるなど、万が一にも認定を目指すなら細かな技術的な対応が発生しそうだ。

いずれにせよ、実際にMASTER OF Gを手にすると、こうした前向きな夢がどんどん広がっていく。海外旅行やデイリーユースなど、より日常での使用を意識した新型グラビティマスターは、機能美に酔いしれるコアな航空ファンだけでなく、アクティブなライフスタイルを楽しむ全ての人にとって待望のパイロットウオッチと言えるのではないだろうか。


G-SHOCK「グラビティマスター GR-B300-1A4JF」 49500円/クオーツ(Bluetooth搭載タフソーラー)。バイオマスプラスチックケース+カーボン繊維強化樹脂ケースバック、バイオマスプラスチックバンド。縦59×横54.7、厚さ15.7 mm、質量71g。20気圧防水。

 

モデルの詳細はコチラ>>>

【GR-B300/搭載機能一覧】

●耐衝撃構造(ショックレジスト)
●カーボンコアガード構造
●タフソーラー(ソーラー充電システム)
●モバイルリンク機能「CASIO WATCHES」対応
●アプリ連携機能(自動時刻修正、簡単時計設定、ワールドタイム約300都市、フライトログ、携帯電話探索)
●ねじロック式リューズ
●ネオブライト
●デュアルタイム(ホームタイムとの時刻入替機能付き)
●ストップウオッチ(1秒、24時間計、スプリット付き)
●タイマー(セット単位:1分、最大セット:24時間、1秒単位で計測)
●時刻アラーム
●LEDライト(スーパーイルミネーター、残照機能付き、ホワイト色)
●フルオートカレンダー
●日付・曜日表示
●パワーセービング機能
●バッテリーインジケーター表示

 

問い合わせ先:カシオ計算機 お客様相談室 TEL.0120-088925 https://gshock.casio.com/jp/ ※価格は記事公開時点の税込価格です。

Text/大野高広 Photo/吉江正倫

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