独自の個性的デザインと実用性の高い機構が特徴的なオリスに、世界の時計好事家が注目している。
スイス時計界に多大な貢献を果たした「歴史」と、技術力に裏付けられた「マニュファクチュール」「海」「空」のモデル展開から、オリスが有する〝真の魅力〞を解き明かす!
真実①History【歴史】
1960年代、世界10大時計会社に名が挙がるほど躍進
いまや時計界でも珍しい独立資本体制を維持するオリスは、ユーザーを最優先した独自戦略を貫く。
スイス時計界の伝統を受け継ぎながら、ディテールにこだわったデザインに実用的な機構を搭載し、価格以上の価値
あるコレクションを多彩に展開。世界中の信頼を集め、「スイス時計界の良心」とも言われる。
そんなオリスの歴史は1904年まで遡る。スイスのヘルシュタインに流れるオリス川のほとりに時計工場を作ったのが始
まりだ。
1920年代半ばには高品質な製品を世界に輸出するまでに成長し、1938年にはフライトグローブを着けたまま
でも操作しやすい大型リューズの「ビッグクラウン」を発表。これは米軍パイロットから絶大な支持を集め、今日に続くオリスの航空時計の先駆けとなった。
このモデルは「ポインターデイト」も装備しており、専用針で日付表示を行う視認性の高さが受けて大ヒットを記録している。
こうして1960年代には世界10大時計会社に挙げられるほど発展したオリスだが、何度も存亡の危機を乗り越え、それが時計界をも救ったことをご存じだろうか。
たとえば、1934年にスイス時計法が制定されて以来、時計メーカーは政府の許可なく新技術を導入できなくなった。
オリスは若手弁護士のロルフ・ポルトマンを起用し、時計界の進化を妨げる時計法の撤廃を画策。
10年の活動の末、1966年に法律廃止に成功する。オリスが新しい技術を使って自社生産した自動巻きキャリバー652が、初のフルクロノメーター証明書を受けたのは、そのわずか2年後のことだった。
また、クオーツ時計におされスイス時計界が崩壊寸前となった1970年代、経営難に陥っていたオリスの苦境を救ったの
は、現会長のウーリック・W・エルゾックである。
彼は機械式時計の復活を信じ、クオーツ時計の製造中止を決定。機械式アラーム時計(1988年)やムーンフェイズ付き複雑時計(1991年)など、次々と技術革新を成し遂げ、機械式時計の復興を牽引するブランドとなった。
もしオリスが存在していなかったら、現在の機械式時計の繁栄はなかったかもしれないのだ。
オリスはいまなお、ヘルシュタインの創業した場所にある。新モデルの開発にも意欲的で、毎年のようにパテントを取得。貴石を加えて価格を上げるような安易な手法とは一線を画し、機能やデザインなど時計本来の価値を真摯に高めることで、機械式時計の発展を支えている。
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