ポケットウオッチ「エスカル・アン・アラスカ」【ルイ・ヴィトン】氷河を超絶技巧で表現

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)】が、ポケットウオッチ・コレクション「エスカル・オートゥール・デュ・モンド」の新作「エスカル・アン・アラスカ」を発表した。本作は、アラスカの雄大な自然を、複雑機構と卓越したメティエダールで描き出したユニークピースとなっている。

17の可動パーツが彩る「エスカル・アン・アラスカ」の文字盤

「エスカル・オートゥール・デュ・モンド」が今回の旅先に選んだのは、アラスカのマージェリー氷河。文字盤にはオーロラが揺らめく夜空から氷河、海へと続く雄大な風景が広がり、シロナガスクジラやシャチ、ペンギンの家族などが描かれている。この冬景色を静止した絵ではなく、ひとつの物語として見せるのがジャックマール機構だ。文字盤には17の可動パーツを組み込み、9つのアニメーションを展開。シロナガスクジラが頭と尾ひれを海上へ持ち上げ、シャチが口を開き、ペンギンたちは羽ばたきながら流氷の上で戯れる。流氷も右から左へと緩やかに移動し、「エスカル・オートゥール・デュ・モンド」のシグネチャーであるルイ・ヴィトンのトランクからは、小さなモノグラム・フラワーが姿を現す。12時位置のゴールド製コンパスローズも回転し、文字盤全体がミニチュアシアターのように動き出す。

動物たちにリアリティを与えているのが、彫刻とエナメルによる緻密な造形だ。クジラはブルーグレーの斑点模様から極小の目まで描き込み、シャチの開いた口には手彫りされたホワイトゴールド製の小さな歯を配置。ペンギンにはクロワゾネ・エナメルを用い、海や氷との前後関係まで感じさせる立体的な姿に仕上げている。可動パーツはすべて手作業で彫刻され、細部を形作るための専用工具まで製作。彫刻工程だけで計160時間を要した。

舞台となるアラスカの風景にも、同様の技巧が注ぎ込まれている。氷河はホワイトを基調に複数の色合いや陰影を重ねることで奥行きを生み出し、流氷にはエナメル加工後に彫刻を施して雪や霜を思わせる質感を表現。海にはグリーンのアクセントを加え、繊細な陰影や線によって水面の動きを描き出した。

視線を夜空へ移すと、0.05カラットのLV モノグラムスターカットダイヤモンドを流星に見立てた意匠が目を引く。このダイヤモンドを文字盤に用いるのはコレクション初の試みで、流星の軌跡にはエナメルとアベンチュリンガラスを組み合わせ、独特のきらめきを生み出している。夜空にはルイ・ヴィトンのモノグラムも潜ませ、文字盤のベースに彫刻した模様の上からグラデーションエナメルを施すことで、背景へ溶け込むように仕上げた。

これほど多彩な表現をひとつの文字盤に成立させるため、グラン・フー、シャンルベ、クロワゾネ、ミニアチュールなど複数のエナメル技法を駆使している。使用する色はホワイトとブルーを中心にグリーンを加えた全32色。色調の選定だけで約2~3週間を費やし、35回の焼成を経て完成する。可動パーツは美しさだけでなく、正確に作動するよう厚みや重量まで緻密に調整され、エナメル工程全体には300時間以上が費やされた。

文字盤の情景をケースへとつなぐ手彫り装飾

壮大なミニチュアシアターを収めるのは、直径50mmの18Kホワイトゴールドケース。ドーム型の反射防止加工サファイアクリスタルを備え、ベゼルにはカラーサファイア、ダイヤモンド、トルマリンをセット。文字盤に広がる色彩豊かな冬景色を、宝石の輝きが取り囲んでいる。

アラスカの物語は文字盤だけでは終わらない。ケース側面の一方には、氷河周辺でしばしば見られる雨滴や霧雨を手彫りで表現。もう一方には、モノグラム・フラワーを囲むように雪の結晶を刻み、文字盤からケースへと冬景色を連続させている。細部まで丹念に彫り込まれたケース装飾は、完成までに40時間もの作業を要する。

こうした複雑な外装を実現するため、「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」の専門アトリエがそれぞれの技術を持ち寄った。ケース製造を担う「ラ・ファブリク・デ・ボワティエ」、ムーブメント部品を製造する「ラ・ファブリク・デ・ムーブマン」、文字盤製造とメティエダールを手掛ける「ラ・ファブリク・デ・ザール」が連携し、時計全体をひとつの作品として作り上げている。

表裏で異なる表情を見せる「キャリバーLFT AU14.03」

文字盤のミニチュアシアターを動かすのは、「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」が開発した手巻き「キャリバーLFT AU14.03」だ。751個の部品からなり、9つのアニメーションを備えたジャックマール機構に、ミニッツ・リピーターとトゥールビヨンを組み合わせ、8日間のパワーリザーブを確保している。

これだけの複雑機構を搭載しながら、表側には一般的な時計のような時分針が存在しない。時刻表示をケースバック側へ移すことで、文字盤をアラスカの情景を描くための舞台として開放したためだ。裏側には伝統的な手法で製作し、手作業による焼成でブルーに仕上げた2本の針を配し、時刻を表示する。さらに時刻とともにムーブメントの精緻な仕上げも楽しめる。735か所に及ぶインナーアングルには面取りを施し、香箱にはスネイル仕上げ、ブリッジには手彫り装飾やコート・ド・ジュネーブを採用。ネジやモノブロックゴング、トゥールビヨンケージ、ラチェットなどにも鏡面仕上げを施している。なかでも凹型に彫刻されたラチェットは、仕上げだけで3週間を要した。さらに宝石を固定する爪にはイエローゴールド、トゥールビヨンをつなぐホイールにはソリッドゴールドを採用。こうした膨大な手仕事を積み重ね、ムーブメントの組み立てと手仕上げには合計500時間が費やされている。表側ではメティエダールが描くアラスカの物語を、裏側ではオートオルロジュリーの機構美を見せるという、明確に異なる二つの表情を持たせた。

メゾンが培ってきた「旅」の精神を付属品にも

↑ルイ・ヴィトン「エスカル・アン・アラスカ」 ユニークピース/手巻き(Cal.LFT AU14.03)、毎時2万1600振動、192時間パワーリザーブ。18Kホワイトゴールド製ケース&チェーン。直径50mm、厚さ19mm。30m防水。

ポケットウオッチを取り巻く世界観は、付属品にまで広げられている。「エスカル・アン・アラスカ」には18Kホワイトゴールド製チェーンに加え、時計を取り付けて飾ることのできる専用バッグが付属する。このバッグはメゾンのアーカイブに残るトラベルバッグを再解釈したもの。「エスカル・アン・アラスカ」と調和する特別なブルーで仕立てられており、ルイ・ヴィトンが創業以来培ってきたレザーグッズのサヴォアフェールを、ハイウオッチメイキングの世界へとつなげている。

9つのアニメーションを備えたジャックマール機構に、ミニッツ・リピーターとトゥールビヨンを融合し、さらに彫刻やエナメル、ジェムセッティングによってアラスカの情景を作り上げた「エスカル・アン・アラスカ」。機構を複雑にするだけではなく、それらをひとつの物語を描くために用いることで、「エスカル・オートゥール・デュ・モンド」が掲げる「旅」の世界をかつてない密度で表現したユニークピースとなっている。

 

問い合わせ先:ルイ・ヴィトン カスタマーサービス TEL.0120-00-1854 https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/homepage

Text/WATCHNAVI編集部

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