機械式時計の発展に寄与する優れたクロノグラフを、時計専門誌・ウオッチナビが厳選して紹介する連載企画。今回は、アメリカの鉄道黎明期を正確な時計で支えた「ハミルトン」と、1927年のリンドバーグによる大西洋単独無着陸飛行を時計でサポートした「ロンジン」、そして防水時計の歴史を切り拓いた1737年創業の古参ブランド「ファーブル・ルーバ」より、最新のクロノグラフをピックアップする。
1960年代の逆パンダダイアルが再び注目を集める
1969年の世界初の自動巻きクロノグラフムーブメント、Cal.11を共同開発するなど、ハミルトンは歴史的にもクロノグラフに強い。特に1960年代後半~70年代、パンダダイアルの「クロノグラフA」と逆パンダの「クロノグラフB」は傑作として名高い。2018年前者が復刻されて人気を博し、今年は後者がブルーで復刻。マット仕上げの2つ目ダイアルがヴィンテージに通じる雰囲気を放っている。
航空黎明期の大いなるレガシーを受け継ぎ未来へ伝える
米国陸軍航空隊の発注を受け、ロンジンが1935年に開発したワンプッシュ式クロノグラフは、厳格な基準をクリアして“タイプA-7”の名が与えられた。特徴的なのは、操縦桿から手を離さずに時間が読み取りやすい、右に40°傾斜した文字盤。その忠実な復刻版はハニーカラーのアラビア数字とコブラ針、大型リューズを備え、航空界の遺産を後世に伝える。
1969年に早くも200mの防水性を誇るクロノグラフが存在していた
創業280年を超える歴史のなかでも、同社が特に輝かしい成果を残したのは1960年代。200m防水クロノグラフのシースカイもその一角だ。しかし、クオーツに翻弄されて製造数は限られ、現在のアンティーク市場で超レア化。その1970年代のセカンドの意匠とスペックを継承する現行レイダー シースカイに、当時の人気色イエローを纏う新作が加わった。