ウオッチナビ注目のクロノグラフ――スイス時計界の救世主となった「ブライトリング クロノマット」

数々の技術革新によって進化を果たしてきたクロノグラフは、いまや腕時計の一大人気カテゴリーとして認知されている。その誕生から100年余年、改めて偉業を達成した記念碑的なクロノグラフに着目し、そのモデルをルーツとする現代のマスターピースについて解説する。時計専門誌・ウオッチナビが今回選んだ傑作クロノグラフは、機械式時計の未来を切り開いたブライトリング「クロノマット」だ。

ブライトリング「クロノマット JSP マザー オブ パール リミテッド」Ref.S001W-PPA 118万8000円/取り外し可能なライダータブやサテンベゼルなど、初代クロノマットに通じるディテールと機能性、自社製Cal.01の強力なスペックを併せ持つ日本のために作られた300本限定モデル。見る角度で色彩を変えるMOP文字盤にバーインデックスを採用し、ナチュラルなフェイスをスポーティに仕上げた

 

クオーツショック克服の起爆剤となったスイス時計界の救世主

クオーツ旋風が吹き荒れた1970年代、多くのスイスメーカーと同じく存亡の危機にあったブライトリングは、あえて全く新しい機械式クロノグラフの開発に着手する。

ちょうどイタリア空軍が公式時計採用のコンペを開催していた。もともとクロノグラフのノウハウはあったが、プロに満足してもらうには現役パイロットのアドバイスが必要だった。カウントダウン用にも使える取り外し可能なライダータブや、フライトジャケットに引っかからないラグ形状、風防ガラスを保護するためのベゼルの高さなど、クロノマットのディテールはプロ飛行士たちの意見を具現化したもの。完成したプロトタイプは、見事にコンペを勝ち抜いた。

さらにフレッチェ・トリコローリとの共同開発を経て、1984年に発売されたクロノマットは世界的な大ヒットを飛ばし、「機械式時計を復活させた時計」と称されることになる。面白いのはプロのパイロットがその機能性を絶賛したのに対し、一般ユーザーはデザインに惚れ込んだこと。最初に人気に火がついたのが、ファッションにうるさいイタリアだったというのも興味深い。時計好きの有名人が競うように購入し、時計店はしかたなく「ブライトリング完売」の張り紙を出したという。

 

ブライトリング「クロノマット JSP マザー オブ パール リミテッド」Ref.S001W-PPA 118万8000円/自動巻き(自社製Cal.01)。毎時2万8800振動。約70時間パワーリザーブ。コラムホイール。垂直クラッチ。ステンレススチールケース(シースルーバック)&ブレスレット。直径44mm。200m防水

 

問:ブライトリング・ジャパン TEL.03-3436-0011
https://www.breitling.co.jp/

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