スイスの独立系時計ブランド【H.モーザー(H.MOSER & CIE.)】が、分散型インターネットと呼ばれるWeb 3.0を活用した独自サービスを発表した。時計の真贋証明、デジタル資産の管理、専用のメタバース空間などを含んだ包括的なシステムにより、新たな顧客体験を提供する。
サービスのデジタル化に積極姿勢を見せる
H.モーザーはデジタルを活用したサービス拡充を積極的に行っており、2020年に独立系ウオッチブランドとして初めてeコマース及びCPOプラットフォームを構築し、最近では仮想通貨での支払いにも対応を開始した。今回、時代の大きな潮流であるWeb 3.0推進にも乗り出し、デジタル資産の所有権による独占権、マルチレベルセキュリティの強化、ブロックチェーン技術による商品の真贋証明、商品の魅力や特徴を伝えられるメタバース空間などを提供するエコシステムを構築している。
H.モーザーCEOのエドゥアルド・メイランは、Web 3.0事業の推進について次のように語っている。
「私たちは今、まさに新しい技術の時代の幕開けに立ち会っています。まだ、あまり知られていないこの分野のルールの定義で積極的な役割を果たし、謙虚さを失うことなく正当な問いを投げつつ、時代に合わせて進化し、自らの立場を鮮明に示すことが大切であると考えています。私たちのDNAには起業家精神が刻み込まれています。敢えてリスクを取り、未知の新たな領域に挑みながら、その精神を磨き上げてきました」
時計の製造から販売まで透明性を確保
今回のプロジェクトでは、オーラブロックチェーンコンソーシアム(Aura Blockchain Consortium)社のブロックチェーン技術を生かしたクラウドベースのソリューション、Aura SaaSによって、証明書、保証書、保険、その他のサービスまで、時計の製造から販売までの過程の透明性が確保される。将来的にこれらの機能は保証書を介し、H.モーザーのすべての時計に導入される予定だ。
さらに時計の商品説明だけでなく、製造に関わる時計職人について紹介するショートムービー、タイムカプセルなどのデジタルアート作品をはじめとしたデジタル資産もNFT形式で作成。時計の製造が完了すると同時にブロックチェーンに組み込まれることも発表されており、顧客体験を新たなレベルに引き上げることになりそうだ。
また、ブランドの世界観とマニュファクチュールとしての歴史を紹介する没入型のメタバース空間を開発。このメタバース空間では、現代的なミニマリストスタイルの山小屋(スイスシャレー)風のラウンジが用意されており、商品情報はもちろん、H.モーザーが本社を置くスイスの景勝地、ラインファル(ライン川の滝)の情報など多彩なデータにユーザーは触れることができる。
50本限定のコンセプトモデルをリリース
この革新的なプロジェクトの推進に伴い、50本限定のコンセプトウオッチ「エンデバー・センターセコンド ジェネシス」を発表した。マイクロブラスト加工を施したステンレススチール製ケースに、ピクセル化したデザイン(ドット絵)をもとに3Dプリンターで作成したチタン製のリューズとベゼルを組み合わせて、デジタル空間を想起させる独創的な外観を形成している。
本機の見所のひとつに、サファイアクリスタル風防に施されたQRコードのエングレービングがある。本機オーナーはこれをスマートフォンで読み込むことによって、専用のバーチャルエコシステムにアクセスできるようになり、今後リリース予定の限定エディションの優先購入権、H.モーザーコミュニティの会員権、イベントへの招待状などを享受されることとなる、なお、本機は限定3部作の第一弾であり、購入者となることで後に発売となる2モデルを優先的に購入できる権利が与えられる。
H.モーザー「エンデバー・センターセコンド ジェネシス」 Ref.1200-1238 424万6000円/自動巻き(自社製Cal.HMC 200)、毎時2万1600振動、約72時間パワーリザーブ。マイクロブラスト加工を施したステンレススチールケース(シースルーバック)、クーズーストラップ、ベンタブラック®ダイアル、サファイアクリスタル風防。直径40mm、厚さ11.3mm。世界限定50本(完売の可能性あり)。
問い合わせ先:エグゼス TEL.03-6274-6120 https://www.h-moser.com/ja/ ※価格はすべて記事公開時点の税込価格です。
Text/三宅裕丈
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