【ルイ・ヴィトン】ウオッチ新作「タンブール オペラ オートマタ」は四川オペラの「変面」を再現する超絶メカニズムを搭載

ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)】が、コンプリケーション搭載のハイウオッチ「タンブール オペラ オートマタ」を発表した。四川オペラ(川劇)の「変面」からインスピレーションを得たモデルとなり、ジャンピングアワーやレトログラードミニッツなどを備えた自社製造の手巻きムーブメント、「キャリバーLV 525」を搭載する。価格は未定。

©Ulysse Frechelin

四川オペラの「変面」が文字盤上で繰り広げられる

今回、ルイ・ヴィトンが発表した「タンブール オペラ オートマタ」は、中国・四川を代表する伝統劇、四川オペラの「変面」にオマージュを捧げるモデルとなっており、色彩鮮やかな仮面をあしらった文字盤デザインとオートマタ機構が見どころ。その瞬時に仮面を変える「変面」とは、変面師が20種類もの面を自在に用いて、ストーリーに沿って喜び、怒り、悲しみ、楽しみなど多彩な表情を披露する曲芸である。薄い絹のような生地に描かれた仮面を、手や扇の動きで変化させる技法は秘伝とされており、技術を受け継ぐ変面師は数えるほどしかいないといわれている。

©Piotr Stoklosa

ルイ・ヴィトンは、ウオッチメイキングにおける各分野のトップクラスの職人たちの協力を得て、この「変面」の喜怒哀楽を本機で再現。メゾンのアトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」のマスターウオッチメーカーであるミシェル・ナバス氏とエンリコ・バルバシーニ氏が、この常識外ともいえる時計を駆動させる手巻きムーブメント、「キャリバーLV 525」を開発。さらにエナメル師のアニタ・ポルシェ氏、彫金師のディック・スティーンマン氏も参加し、唯一無二といえる独創的なデザインを作り上げた。

ミシェル・ナバス氏は本機の開発について次のように発言している。

「『タンブール オペラ オートマタ』では、『変面』の印象的な美学と表現力豊かな動きを反映させたいと考えました。この非常に困難な伝統芸能は、代々門外不出の秘技とされています。これは、オートマタのメカニズムが、伝統的な時計製造技術の完璧な理解を要することに通ずるものがあります」

©Regis Goley

文字盤を華やかに飾るピンクゴールドのドラゴン

文字盤の大部分を占める印象的な仮面は、ホワイトゴールドの細い金線で区切った白、赤、黒のクロワゾネエナメルで仕上げられたもので、エナメル細工の名匠と評されるアニタ・ポルシェ氏の技術が余すことなく注ぎ込まれている。仮面の目にはルイ・ヴィトンのシンボリックな柄があしらわれているなど、遊び心のある意匠。この仮面とともに華やかに飾るピンクゴールドに輝くドラゴンは、古代中国の皇帝に関係する神話上の生物であり、力強さ、権力、高貴さの表す。このドラゴンは仮面の上部から顔を覗かせ、胴体は仮面の下部を囲んでいる。ルビーをセッティングした鋭い目、エングレービングとサンドブラストで仕上げられた鱗など、抜かりのないディテールはまさに見事。オートマタを駆動させるプッシュボタンにもドラゴンがあしらわれており、「タンブール オペラ オートマタ」の守り神のように鎮座している。

©Regis Goley

仮面の左側には、中国では知恵と権威の証とされる扇が配されている。これは金属の表面を削って作り出した窪みに顔料を流し込んで焼成させるシャンルベエナメル技法が用いられたもので、艶やかで深みのあるレッドの色合いは惚れ惚れするほどの美しさ。シャンルベエナメルの扇から巻き上げリューズまで、本機の装飾の数々は、ほぼすべて手作業で仕上げられている。

©Piotr Stoklosa

文字盤の左上部のひょうたんは、悪霊から人々を守ると伝えられており、幸運のシンボルとされる雲もあしらわれている。さらには、文字盤のベース部分にさり気なくキャンバスのパターンやモノグラム・フラワーといった、ルイ・ヴィトンの伝統的デザインが使われており、ブランドのアイデンティティと中国の歴史や文化を巧みに調和させている。

©Piotr Stoklosa

2つの超絶的なメカニズムを同時搭載

デザインだけでも語りどころの多い「タンブール オペラ オートマタ」だが、メカニズムも独創性にあふれている。ジャンピングアワーとレトログラードミニッツという超絶機構を搭載しており、ケース右側面のプッシュボタンを押すと、変面上部のドラゴンの顔が立ち上がり、変面の額に刻まれたジャンピングアワーが出現。さらにドラゴンの尾が、レトログラードミニッツの針として機能する。

仮面の表情も注目で、片方の瞼は下がり、もう一方にはモノグラム・スターフラワーが出現。さらに顎の可動によって、さまざまな感情が表現される。これらのオートマタ機能と、ジャンピングアワー、レトログラードミニッツは「キャリバーLV 525」によって実現している。計426個ものパーツで構成される同ムーブメントは、100時間のパワーリザーブを備え、ケースバックから見える面にも「変面」の仕掛けを持つ。ちなみにオートマタを駆動させるエネルギーは、プッシュボタンを押し込んだときに生まれる力を利用しているため、手巻きのパワーリザーブとは関係がない。

©Piotr Stoklosa

「タンブール オペラ オートマタ」は、同じくオートマタと連動するジャンピングアワーとレトログラードミニッツを搭載する2021年発表モデル「タンブール カルペ・ディエム」に続く、ルイ・ヴィトンの超絶コンプリケーション。世界のトップメゾンが誇るウオッチメイキングアトリエ「ラ・ファブリク・デュ・タン ルイ・ヴィトン」の実力を知らしめ、時計界でもユニークな存在であることを示すハイエンドマスターピースなのだ。

©LOUIS VUITTON

ルイ・ヴィトン「タンブール オペラ オートマタ」 価格未定/手巻き(自社製Cal.LV 525)、毎時2万1600振動、100時間パワーリザーブ。18Kピンクゴールドケース(シースルーバック)、ブラックアリゲーターストラップ。直径46.8mm、厚さ14.4mm。30m防水。

 

問い合わせ先:ルイ・ヴィトン クライアントサービス TEL.0120-00-1854  https://jp.louisvuitton.com/jpn-jp/homepage

Text/三宅裕丈

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