腕時計の常識を覆す耐衝撃構造、ソーラー充電や電波時刻修正のテクノロジー、カラフルで豊かなデザインなど、2023年に40周年を迎える【G-SHOCK】はこれらの特徴を備えながらラインナップを拡大してきた。近年は10万円を超える上位モデルも好評で、注目が集まっている。5月にリリースされたばかりの最新作「MTG-B3000」も、時計界のトレンドである薄型化や小型化、そしてバンド交換システムを搭載し、MT-G史上もっとも革新的かつ実用的な進化を遂げた。その魅力に迫る。
ケースもモジュールも新調し、スリムなボディを獲得した新型MT-G
使い勝手が向上した新型MT-Gを3つのポイントから解剖
質感を高めるメタルとG-SHOCKの起源である樹脂を融合するMT-Gシリーズは、メタルツイステッドG-SHOCKとしてブランドの中でも特別な地位にある。カーボンのような先進的なマテリアルを積極的に投入して使いやすさを求め、休日のカジュアルな服装からビジネスシーンのスーツにまで適応するデザインのコレクションを揃えている。そのような汎用性を求める声にさらに応えるのが、新作の「MTG-B3000」だ。その特徴をWATCHNAVI Salonでは3つに絞って解説しよう。
新型MT-Gの魅力ポイント①[薄型ケースによる良質なフィット感]
ケースの設計を見直し、薄型だったMTG-B1000より2.3mmも薄く
G-SHOCKでは2010年から、バンド部へカーボンファイバーをインサートしたモデルを展開しており、2016年からは剛性に優れる、樹脂と結合させたカーボンファイバー強化樹脂のケースを採用している。現在では業界随一となったこの技術を用いて、新しいデュアルコアガード構造を開発。メタル外装の下にカーボンファイバー強化樹脂ケースをセットし、モジュールを保護している。これと新開発の薄型モジュール(魅力ポイント②で解説)を採用することで、新作MTG-B3000は比較的に薄かったMTG-B1000より2.3mmもスリムになっている。
新型MT-Gの魅力ポイント②[耐衝撃性も確保された高機能モジュール]
オシアナスの多針クロノグラフムーブメントをMT-G向けにアレンジ
薄いメタルケースが魅力の同じカシオブランドのオシアナスで使われているモジュールをベースに、G-SHOCK独自の耐衝撃性基準を満たすように変更したモジュールNo.5672をMTG-B3000は搭載している。もともと小型で薄く、高密度実装技術による電子部品の集積化もなされていたモジュールの基板レイアウトを最適化したことで、これを実現した。Bluetoothを使ったスマートフォンとのモバイルリンク、マルチバンド6(標準電波受信機能)、タフソーラー(ソーラー発電機能)も実装されている。
新型MT-Gの魅力ポイント③[新たに開発された秀逸な付け替えバンド]
バンド交換をもっと気軽に楽しむためのワンプッシュ式
カジュアルウオッチだけでなく、高級時計にも普及しているバンドのチェンジ機能。時計の雰囲気を手軽に変更できるとして年々需要が高まっている。MT-GではMTG-B2000から導入されて反響を呼んだ。今回それをさらに発展させ、専用工具がなくても取り外し・取り付けができるように、ラグの両サイドに交換用のボタンを設置。別売りの専用替えバンドは軽い着け心地のソフトウレタンバンドと、メタルパーツにファインレジンを組み込んだレイヤーコンポジットバンドが用意されている。
スペシャルインタビュー
G-SHOCKファンの声が開発陣へ。理想的なバンド交換システムの完成への道
中塚義樹さん/カシオ計算機株式会社 機構開発統轄部 第一機構開発部 第1外装開発室/2005年入社。2010年よりG-SHOCKの外装設計を担当。MTG-S1000から歴代MT-G(MTG-S1000/G1000/B1000/B2000/B3000)の外装開発・設計を行っている。
「シンプルな構造で、ユーザー自身で簡単に付け替えを楽しんでいただける。同時にG-SHOCKのタフネス基準を満たすこと。いずれも克服したMTG-B3000のバンドは期待に応える自信作です」
筆者がMTG-B3000を初めて手に取った際、もっとも気に入ったのがバンドの交換機能だった。いまや機械式時計にも搭載モデルが増えたが、その使い勝手に感心したのだ。率直な感想を、ワンプッシュ式交換バンドの設計者である中塚さんにぶつけてみた。
(中塚さん)「以前から、G-SHOCKのバンドを交換できないか、といったお問合せをいただいておりました。そこでMT-GではMTG-B2000より、交換できる機構を備えたのです。耐衝撃性や引っ張り強度を持たせなければならないため、製品テストにはかなりの項目と時間をかけ、晴れてMT-G初のバンド交換システムが実現しました」
1983年のデビューよりG-SHOCKは、“壊れない、止まらない、狂わない”をコンセプトに掲げている。独創的なこの哲学がオリジナルのテクノロジーを生む源泉となり、世界中で愛用される腕時計へと上り詰めることに結実している。そんな技術革新に挑む姿勢は、中塚さんら若手開発陣にも根付いている。
「実用性で言えば、専用工具を必要とせずにバンドの交換ができる仕組みが理想的です。そこでMTG-B2000の機構をベースに、新たに開発を進め、やっとの思いで完成したのがMTG-B3000の機構でした。ラグの外側のプッシュボタンに、MT-Gを象徴するベゼル上の4本ビスとの共通性を持たせ、全体のデザインを崩さないように配慮しています」
新作「MTG-B3000BD-1AJF」は標準でレイヤーコンポジットバンドを搭載。別売りのスポーティなソフトウレタンバンドへ交換できる。取り外し方はラグ外側の両ボタンを押し込んで、バンドを引っ張るだけ。太いバネ棒の奥には、カーボンコアガード構造のカーボン強化樹脂ケースが姿を覗かせる
「MTG-B3000は企画段階から小型化と高級感の両立が命題でした。そのための設計上の工夫や仕上げにもこだわっています」
新たなカーボンコアガード構造や新モジュールによって、MTG-B3000は歴代MT-Gでもっともスリムなケースとなっている。それには外見上のアイデアもあるという。
「ベゼルまで立ち上がった複雑な形状の一体型ケースバック(鍛造のステンレススチール製)によって、剛性の確保とともに薄さも実現しました。MTG-B1000と比べても裏の出っ張りが少ないことに気付いていただけると思います。それから真横から見ていただくと、ラグの下がったポジションからレイヤーコンポジットバンドが繋がっているのがわかります。これによって腕へのフィット感が高まり、同時にケースを薄く見せるデザイン上のテクニックとなっているわけです」
仕上げはヘアラインをメインとし、シャープさを際立たせている。
「レイヤーコンポジットバンドはケース側から2コマ目までを若干細くして、軽量化と小振りに見せることを両立させました。また、ケースとレイヤーコンポジットバンドのメタルパーツにはヘアラインをかけています。こちらは専門の職人が手作業で目付け研磨を行っており、パーツごとに仕上げています。この作業は高級感とスタイリッシュな雰囲気の獲得に不可欠です」
バンド交換だけで機能性だけでなく見た目も大きく変わる。たとえば旅行時に交換用バンドを携帯し、日中のアクティビティはソフトウレタンバンドで、夕食のドレスアップシーンではレイヤーコンポジットバンドに付け替えて着用するなどの提案もできる。専用工具なしで容易に交換できるメリットは大きく、1本の時計で2度楽しめるのだ
カシオが培ってきたカーボン技術を駆使し、MTG-B1000、MTG-B2000、そして今回のMTG-B3000へと繋がってきた新世代のMT-G。最新こそ最良を体現するメタルツイステッドG-SHOCKが、ユーザビリティの新領域に到達したことはファンにとって朗報であり、これまでMT-Gをターゲットにしてこなかった時計好きにも響くモデルとなっている。 |
モデルの詳細はコチラ>>>
MTG-B3000/スペック一覧
●トリプルGレジスト(耐衝撃構造・耐遠心重力性能・耐振動構造)
●カーボンコアガード構造
●ねじロック式リューズ
●タフソーラー(ソーラー充電システム)
●マルチバンド6(電波時計/日本・北米・ヨーロッパ・中国地域対応)
●モバイルリンク機能(スマートフォンアプリ「CASIO WATCHES」対応)
●針位置自動補正機能
●デュアルタイム
●ストップウオッチ
●タイマー
●時刻アラーム
●パワーセービング機能
●日付・曜日表示
●フルオートカレンダー
●ホワイトLEDライト(スーパーイルミネーター、残照機能付き)
●ネオブライト
問い合わせ先:カシオ計算機 お客様相談室 TEL.03-5334-4869 https://www.casio.com/jp/watches/gshock/
Text/WATCHNAVI編集部 Photo/吉江正倫
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