アプリと連携してより効果的なトレーニングが可能に!! 通知にも対応
――新作では心拍計+GPSの搭載に加え、スマートフォンリンク機能も強化されたんですよね?
吉井さん:基本としてG-SHOCKの使いやすさは踏襲したいと考えました。シンプルに、9時側のボタンを押すとトレーニングモードに移行します。この状態で自動的にGPS機能が起動し、捕捉した段階でトレーニングを開始できます。GPSと心拍計の搭載によって走った距離やペース、心拍数がリアルタイムで表示されるため、レベルに合わせた運動ができるのです。
トレーニングをし終わってからは、VO2max(体重1kgあたり1分間に体内に取り込むことのできる酸素の最大摂取量)も算出可能です。トレーニングの効果があったかは時計が判断してくれますが、詳細なデータはスマホのアプリで確認できるようになっています。そのため次回のプランを立てるために役立てたり、改善点を見つけ出しやすくなっています。
東別府さん:このアプリは開発の段階で、計測した各種情報を読み取りやすく、自分の状態の変化に気づけるような工夫を凝らしました。トレーニング終了後、G-SHOCKが取得したデータはすぐにスマホへと転送され、アプリ上で表示できる仕組みになっています。こういった機能を求められる方は、効率のよいトレーニング方法を探されている方が多い。そのような、理想的なトレーニングを実現するためのG-SHOCKであり、専用アプリを目指したのです。
吉井さん:フィットネスデータの分析については、その分野で定評のあるフィンランドのファーストビート社のアルゴリズムを使用しています。その解析分野で信頼性が高く、スピード感をもって搭載したかった背景もあり、実績のある専門企業と協力関係を結ぶことにしました。トレーニングの分析結果は、アプリで履歴まで含めて確認と管理ができます。
東別府さん:トレーニング分析やフィードバックを中心に、シンプルかつG-SHOCKらしいユーザーインターフェイスのアプリに仕上げました。ホーム画面はウィジェット構成になっており、必要な情報に特化するようなカスタマイズも可能です。また、目標に合わせたトレーニングプランの自動生成もします。もちろんアプリから時計の設定変更もできます。多機能ではあるものの、あくまでもスマホに慣れていない方に使いやすいと思っていただけるようなアプリにしています。
牛山さん:従来のG-SQUADは加速度センサーで運動量を計測し、Bluetoothでスマホに転送していました。今回はこれに加えてGPSの搭載によって距離、速度、ペースを、光学式心拍計の搭載でどの程度の負荷がかかっているかを可視化します。そして専用アプリがトレーニングプランの提案まで行う。通知機能も充実させて、スマホが着信した内容(電話してきた相手の名前やメッセージ)まで表示可能になった。通常時の利便性も進化したわけです。
吉井さん:通知機能は時計本体で音やバイブの選択ができ、太陽発電で起動します。なお、トレーニングモードをフル稼働した場合、バッテリーはおよそ14時間。週に2回か3回走る私の使い方では、「充電しなきゃ」という切羽詰まった感情になることはありませんでした。
牛山さん:バッテリーはハイブリッド充電方式(太陽発電とUSB充電)を取っているわけですが、時刻表示はもちろん、Bluetoothを介する通知や振動モーターの駆動は太陽発電だけで賄うことができます。さらにその先の機能、すなわちトレーニングモードでGPSや光学式心拍計を起動させるシーンの前には、USBからの充電が必要となるわけです。極端なことをいうと、スマホとペアリングしなくてもすぐに使えますし、モードボタンを押せば心拍数も表示されます。
――トレーニング中に充電が切れることはありませんか?
吉井さん:普段のトレーニングではないですね。それに、充電がなくなってきたときは“LOW”の表示が出て、まずはGPSが止まります。さらにもう一段階進むと心拍計も停止しますが、加速度センサーを生かすことで可能なかぎりログを取るシステムになっています。
――G-SHOCKが電池残量を判断して、段階的に機能を止めていくわけですね?
吉井さん:ユーザーがトレーニング後にがっかりしないよう、できる限り記録を残すという手立てです。また電池の残量はほぼ全ての画面で表示されているため、バッテリーが切れるタイミングも判断しやすいと思います。
――これだけ機能が詰まっていますが、定価はどれぐらいに?
牛山さん:前回のレンジマンは10万円でした。しかし、今回は5万円に設定しています。
――おぉ!?
牛山さん:機能は増えているのに半額という。開発部門のコストダウンや営業部門の流通調整といった、様々な努力の積み重ねによる成果です。レンジマンにはセラミックのケースバックとサファイアガラスといった高級素材を採用していますが、その2つを省いたとしても十二分なスペックを誇っています。
東別府さん:アプリもまだまだ進化させる予定で、アップデートによる機能追加も可能です。いまよりもさらに便利なG-SHOCKとなるでしょう。
――トレーニング時はもちろん、日常使用にも活躍してくれるモデルですね
東別府さん:マラソン大会に行ったとき、G-SHOCKユーザーが非常に多いことに気づきました。だからこそもっと使い勝手の良いものを作らねばと、自分でも欲しいと感じましたね(笑)
吉井さん:“G-SHOCKを着けて走りたいけど、相応しいモデルがなかった”。という方はもちろん、トレーニングとは関係がなく、ソーラーで動く歩数計や通知機能がついた時計が欲しかった方にも響いてくれればと思っています。
牛山さん:実は同時期発売で、G-SQUADからもうひとつ「GBD-100」というモデルが登場します。これはGPSや心拍計、トリプルセンサーが非搭載ですが、歩数を測るステップトラッカーつきでBluetoothによってスマホと繋がる普及価格版です。こちらは2万2000円(税込)となります。GBD-H1000には劣りますが、トレーニングデータを連携アプリに記録したりする機能は同じです。
東別府さん:GPSと心拍計がないものの、GBD-H1000と同様にトレーニングをサポートするG-SHOCKとして期待していただきたいと思います。そのためにアプリの設計にも力を入れました。
吉井さん:GBD-100は連携させたスマホのGPSを使い、ユーザーの走るスピードを加味して距離の補正を行います。事前登録した身長から割り出した歩幅をデフォルトとし、キャリブレーションする行動を起こすことで精度も高まります。ちなみにGBD-H1000もGPSが使えない長いトンネルなどでは、加速度センサーが距離を測定していますが、過去にGPSで測った数値をベースにキャリブレーションし、算出しているのです。
東別府さん:実際にGBD-100とGBD-H1000を同時に着けてランニングしましたが、計測結果はほぼ同じでした。アプリのトレーニングプランも立てられており、普及価格モデルとはいえ利便性が高い。こちらもちょっと作り込みすぎたかもしれません(笑)
G-SHOCKの特徴ともいえる大きなサイズは、運動には不向きという考えを持っていた。しかし今回、新G-SQUADの開発陣の話しを聞き、実機を腕に乗せてみたところ、以前から抱いていた懸念は払拭された。たしかに、他のスポーツウオッチと比べると大きさでいえば分が悪い。しかしながらGBD-H1000は、装着性を追求した外装、読み取りやすい液晶、操作性の良いボタンなど、このサイズだからこその実用性も特徴といえる。そしてさらにいえば、唯一無二のタフネスという価値も備えている。トレーニング向けではあるが、日常で役立つ新世代のG-SHOCK。ファッション性も高いことから、街中で着けている人を見かけることも増えるに違いない。
問:カシオ計算機 お客様相談室 TEL.03-5334-4869
https://g-shock.jp/
聞き手/WATCHNAVI編集部 撮影・谷口岳史
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