発売後すぐに反響のあった注目時計【エディフィス ソスペンシオーネ ECB-2000】の開発者にインタビュー。カシオのカーボン技術は新境地へ!!

未来を感じさせる腕時計の素材=カーボンは、スイスの一流ブランドでも開発が進められている。年々注目度が高まるこの素材の国内トップランナーといえば【カシオ(CASIO)】であり、その右に出る者は居ない。【エディフィス(EDIFICE)】からリリースされた新作「ソスペンシオーネ ECB-2000」は、同社が持つカーボン技術を惜しみなく投入した自信作。企画・開発のリーダーに、魅力やカーボンのメリットについて語ってもらった。

<カシオ計算機 技術本部 企画開発統轄部 企画部 第一企画室 チーフ・プランナー>荒井秀介さん
1992年、カシオ計算機に入社。クロック(置き時計・掛け時計)の商品企画の職務を経て、2008年に腕時計の商品企画への異動を契機にエディフィスの担当に就任。2009年の電波時計モデルEQW-M1000、2014年のスマートフォンリンクモデルEQB-500を手掛け、以降すべてのエディフィスコレクションの商品企画に携わる。多くの自動車メーカーやレーサー、メカニックとの関わりを通し、モータースポーツ好きに響く製品開発を目指す

熱きレーシングスピリットをそのままデザインに表現

 

エディフィスの最新作「ソスペンシオーネ ECB-2000」シリーズを手掛けたカシオ計算機の荒井秀介さんは、学生時代からカーレースに魅了され、自身でも“クルマいじり”をされていたというモータースポーツファン。2008年、クロックの商品企画から腕時計の商品企画へと異動したことに伴いエディフィス担当に就任した。“Speed and Intelligence”をコンセプトとするレーシングクロノグラフを主力とする同ブランドに携わることは、まさに念願叶ってであった。

(荒井さん)「エディフィスは、実際にサーキットでレーサーやメカニックに着用してもらい、その感想のフィードバックを開発に生かしてきました。たとえば世界を転戦するチームの意見を反映し、エディフィスではモバイルリンクを使った自動時刻修正やワールドタイム(約300都市より選択)の設定が手軽に行える機能をいち早く搭載しました。クルーたちは秒単位の行動を求められるため、転戦地の正確な時刻を共有する必要があります。そのような理由もあり、エディフィスは高く評価してもらっています

カシオが誇るエレクトロニクスから生み出された革新的なスマホ連携は、自動時刻修正や世界時間の設定のほか、アラームやタイマーの操作、ストップウオッチのデータ転送なども実現。これらを備えるエディフィスのモデルは、レース界だけでなくビジネスからプライベートまであらゆるシーンで活用されている。

エディフィス「ソスペンシオーネ ECB-2000YPB-1AJF」

 

「これまで高機能なメタルのクロノグラフがエディフィスの代名詞でしたが、デザイン面でもモータースポーツファンの心を揺さぶるような腕時計を作りたかった。そこで考えたのが、レーシングカーに使われているカーボンの使用です。これまで以上にスポーティな外観になりますし、同時に軽量化も達成されて装着感の向上を図ることができます」

そのような経緯を経て完成した「ソスペンシオーネ ECB-2000」は、まさにレーシングカーを腕に装着しているかのような感覚になれるユニークなデザインを形成している。

 

 

ソスペンシオーネコレクションのキーパーツ、カーボン繊維強化樹脂ケース。炭素繊維で補強・強化された樹脂である、いわゆるCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)を採用。形状の自由度があり、サスペンションアームラグを実現させた

 

「今までにないデザインとして、フォーミュラカーのダブルウイッシュボーン式サスペンションのアームをヒントにラグの形状を構築しています。この部分を含めたケースは射出成形によるカーボン繊維強化樹脂製で、耐久性や強度に優れるほか、圧倒的な軽量化を図ることができます。ECB-2000YPB-1AJFのベゼルはさらに高機能で折り目が美しいカーボンとし、レーシングカーをイメージさせるデザインにまとめました」

カーボンベゼル表面のインデックスは、レーザー刻印をしたうえで“レーシングレッド”を想起させるカラーで仕上げ、ダイアルの要所にも印象的なレッドを配色。カーボンケースや樹脂バンド、ステンレススチールパーツ(ケースとバンドの接続部、ケースバック、プッシュボタン)にはIP処理を行い、全体をブラックで統一したことで、モータースポーツに度々登場する情熱的なレッドがさらに映えるルックスである。

「樹脂とメタルに続く第3の素材として、カシオではカーボンを長年にわたって研究しています。その蓄積された技術がベースとなり、このソスペンシオーネ ECB-2000のカーボンパーツも作られています。これらは弊社のプレミアムモデルが製造される山形カシオで成形から仕上げまで行われています。とはいえ、独特な形状のサスペンションアームラグは、技術者たちを悩ますパーツとなっているようです(笑) 彼らのノウハウと経験があってこそ、この腕時計は実現できたといえます」

デザインの自由度が高い射出成形でカーボン繊維強化樹脂のケースを作り、さらに強度に優れる高機能カーボンのベゼルを製造。海外のブランドの中には、これだけの要素を持つモデルだと超高額になる例もある。しかし一方、ソスペンシオーネ ECB-2000は3万円台という驚きのプライスだ。

エディフィス「ソスペンシオーネ ECB-2000YPB-1AJF」

 

「風防はサファイアガラスのため傷に強いですし、光の反射を抑えるコーティングも施しています。アナログとデジタルの表示を組み合わせたダイアルは、見切りリングとバーインデックスに高さを設けて立体的にし、夜光付きの太い時分針を採用して時刻を読み取りやすくしています。そのほかにも電池交換の手間が少ないタフソーラー、暗闇での視認性を上げるLEDバックライト、1/100秒ストップウオッチ、アラームなども搭載しています」

外装も機能も充実のソスペンシオーネ ECB-2000は8月中旬の発売前から注目され、とくにカーボンベゼルモデルのECB-2000YPB-1AJFは売り切れ店が続出。記事公開時点では、CASIOオンラインストアでもSold Out状態。エディフィスの新たな顔となる要素十分である。

 

 

右が、カーボンベゼル&樹脂バンドの「ソスペンシオーネ ECB-2000YPB-1AJF」。モータースポーツにヒントを得た特徴あるデザインだ。左がステンレススチールベゼル&ブレスレットの「ソスペンシオーネ ECB-2000YD-1AJF」。こちらはスーツにもマッチするスタイリッシュな外観である。いずれもカーボン繊維強化樹脂ケースを採用しており、重さが抑えられている

 

「ソスペンシオーネは、モータースポーツの場でリアルに評価されているエディフィスだからこそ生まれたコレクションだと感じています。私を含めてプロダクトチームはモータースポーツ好きが多く、その想いを共有しながら開発に取り組みました。ちなみに“ソスペンシオーネ”とはイタリア語でサスペンションを指す単語。個性的なラグは若手デザイナーの考案によるものです。構想が持ち上がって以来、完成までのおよそ2年半はチームと製造現場とで密なコミュニケーションを取り合い、いくつかのプロトタイプも製作しました。工場には無理難題なオーダーをお願いしましたね(笑) 彼らには本当に感謝しています。その甲斐があり、モータースポーツファンはもちろん、カーボンの腕時計が欲しいと思っていた方々にも興味を持っていただけるモデルが完成しました」

荒井さん指揮のもと、今後もソスペンシオーネから注目に値する新たなモデルが投入される可能性もあるという。モータースポーツにインスパイアされたダイナミックなデザイン、カシオの先進的なテクノロジー、そして期待がかかるカーボン。エディフィスが非凡なアナログウオッチであることをソスペンシオーネ ECB-2000は体現し、同時にブランドの新たな可能性を切り拓くマイルストーンとなるに違いない。


エディフィス「ソスペンシオーネ ECB-2000YPB-1AJF」 3万6300円/クオーツ(Bluetooth搭載ソーラー)。カーボン繊維強化樹脂ケース、カーボンベゼル、ステンレススチールケースバック(ブラックIP加工)、サファイアガラス風防(内面反射防止コーティング)、樹脂バンド。縦51×横47.8mm、厚さ11.3mm。質量62g。10気圧防水。

 


エディフィス「ソスペンシオーネ ECB-2000YD-1AJF」 3万3000円/クオーツ(Bluetooth搭載ソーラー)。カーボン繊維強化樹脂ケース、ステンレススチールベゼル、ステンレススチールケースバック(ブラックIP加工)、サファイアガラス風防(内面反射防止コーティング)、ステンレススチールバンド。縦51×横47.8mm、厚さ10.8mm。質量136g。10気圧防水。

 

ECB-2000シリーズ/搭載機能一覧
●タフソーラー(ソーラー充電システム)
●モバイルリンク機能(対応携帯電話とのBluetooth通信による機能連動)
●ワールドタイム
●ストップウオッチ
●タイマー
●時刻アラーム・時報
●操作音ON/OFF切替機能
●バッテリーインジケーター表示
●パワーセービング機能
●フルオートカレンダー
●12/24時間制表示切替
●針退避機能
●ネオブライト(夜光塗料)
●LEDバックライト(ホワイト色)

 

問い合わせ先:カシオ計算機 お客様相談室 TEL.03-5334-4869 https://www.casio.com/jp/watches/edifice/

Text/山口祐也(WN編集部) Photo/ 谷口岳史

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