時計のトレンドを追い続けている評論家やジャーナリストに、2019年に発表された時計で気に入ったものを5モデル選んでもらった。時計のプロである彼ら意見に耳を傾け、時計知識を深めていただきたい。本記事は、時計関係の著書も多数執筆されている並木浩一さんのベストウオッチを紹介する。
技術的にも美学的にも神業トゥールビヨン
「そもそも初代ブレゲの発明品であるトゥールビヨンを、技術的にも美学的にも最高レベルにインテグレートした傑作に思える。超絶機構を3ミリ厚の極薄ムーブメントに組み込み、極限まで削り、手作業で仕上げた」
【時計評論家・並木浩一さん】
「スウォッチ グループがバーゼル離脱。世界的な枠組みが変わった」
ベスト5の選出基準は?
「圧倒的インパクトがある“旬の時計”」
2019年の時計界を総括すると
「バーゼルからスウォッチ グループが離脱し、独自の発表会に移行したのは今世紀最大の衝撃。こんな激動期に立ち会えたことをジャーナリストとして幸運に感じます。3つの大きな展示会を経て、新しい腕時計作りの世界的枠組みが変わったことを実感しました。来年はSIHHとバーゼルワールドが連続日程となり、スウォッチ グループがどのような戦略を取るかによって時計そのもの、また時計の“語り”にも影響してきます。どんな腕時計が登場するのか、本当に楽しみです」
<私的ベストウオッチNo.2>モンブラン「ヘリテイジ オートマティック」
オールド・ミネルバのファンが心踊る新作
「ミネルバの3針といえばCal.48(ピタゴラス)が有名だが、それに出車を組み込んで中3針にしたCal.49が存在した。その面影を持つ本作は、“古き良きミネルバ”を想起させる」
10日巻き自社製手巻きムーブメント搭載の最新作
「10日間シングルバレルを公開し、特許のノンリニアパワーリザーブ表示と一緒に眺められるのは楽しい。見える部分のブリッジをあえて面取りしないのもオリスらしい矜恃」
<私的ベストウオッチNo.4>シャネル「J12」
新ムーブメントの採用でパーフェクトな存在に
「極上のエクスクルーシブ自動巻きは、シースルーバックから望むローターに大胆な中空の円形モチーフを採る、ひと目でシャネルとわかるデザイン。不動の古典性を崩さず進取の伝統を密やかに重ねた」
<私的ベストウオッチNo.5>ハリー・ウィンストン「プロジェクト Z13」
センターから伸びるレトログラード式の日付が斬新!!
「注目は初搭載のムーンフェイズが円形ではなく12角形で、しかもシリーズアイコンの手裏剣モチーフであること。日本人としてこの“左向き卍手裏剣”に載せたメッセージを、“受け”てみたい」
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