腕時計の発展を牽引する現代の優れたクロノグラフを、時計専門誌・ウオッチナビが厳選して紹介する連載4回目は、陸・海・空の各ステージにおける理想的な時計デザインを追求した3モデルを解説。いずれもブランドを代表するポジションに位置づけられており、複雑な機構のクロノグラフにプラスαの機能を備えているのが特徴だ。
5代目ブレゲが開拓した航空分野の功績を受け継ぐ名機
ブレゲ5代目ルイ-シャルル・ブレゲは、ヘリコプターの原型を開発した偉人とされている。航空時計界に進出したブレゲ社がフランス軍からの要請を受け、1955年に完成させたタイプXXは、1980年代初頭までフランス空軍の制式装備品として使われていた実績を持つ。以後も着実に進化を続け、2004年に誕生した第5世代のタイプXXIは、秒・分のセンター同軸積算計を同時にフライバックできる仕様になっている。
“究極のエレガンス”を追求するための“世界最薄”というブルガリの冒険
2014年の世界最薄トゥールビヨンに始まり、この世界最薄クロノグラフムーブメントで5回目のワールドレコードとなった。もちろん、記録達成のための薄型化ではなく、ブルガリの永遠のテーマ“究極のエレガンス”を体現するため、誕生したのがこのモデルである。水平クラッチ(キャリングアーム)とペリフェラルローターを採用し、GMT機能まで搭載しながら、3.3㎜厚に318個の部品を収める集積技術は、いまやブルガリの独壇場だ。
センター秒・分積算計と左プッシュボタンでアイデンティティを守る
パネライのクロノグラフは、1943年のイタリア海軍将校用「マーレ ノストゥルム」がルーツ。かたやサブマーシブルの起源は、1956年のエジプト海軍向け「エジツィアーノ」である。この2つの強烈な個性を橋渡しするのが、まさしく自社製のキャリバーP.9100。操作ボタンを左に、60分計はセンターにブルーで配してオリジナルの意匠を堅持した。最新作となる本機はフリーダイビング界のレジェンド、ギョーム・ネリーとのコラボレーションモデル。世界限定500本の希少な逸品だ。