6月10日の「時の記念日」とは、671年に天智天皇が漏刻(水時計)を使って日本で初めて報時を行った故事に由来する。そして時を経た1920年(大正9年)、庶民に時間概念の重要性とルーズさを正す目的のため、「時」展覧会が開催された。その100周年を記念し、「時の記念日100周年企画展 『時』展覧会2020」が上野公園の国立科学博物館で開催されることとなった。
「時」と「時計」を学ぶ1世紀ぶりの祭典
ちょうど100年前、国立科学博物館の前身である東京教育博物館で催された「時」展覧会は大盛況だったという。まだまだ時間の認識や時計の大切さが知れ渡っていなかった時代に、それらを周知させるための役割りを担ったわけだ。今回の「時の記念日100周年企画展 『時』展覧会2020」では当時を振り返るとともに、今日まで続く日本の時計技術の歩みと最新の研究を紹介し、改めて「時」を考える機会を提供してくれる場となっている。
本企画展の展示監修者は、いずれも日本を代表する「時」のスペシャリストが集った。
明石市立天文科学館 館長 井上 毅さん/日本標準時子午線の真上に立つ天文科学館の館長として天文の普及に努める傍ら、「時の記念日」の調査研究に着手。
情報通信研究機構 主席研究員 細川瑞彦さん/光の原子時計や超小型原子時計の研究開発を行っている。
日本時計協会 顧問 山本 尚さん/時計事業展開における「次世代育成関連事業」を担当。
日本時計協会 専務理事 岸 良一さん/時計に関する統計情報の収集・分析などの活動に取り組んでいる。
山口大学時間学研究所 所長 藤澤 健太さん/天文学の研究を専門とし、宇宙の現象を時間を軸として考察している。
国立科学博物館 名誉研究員、佐々木 勝浩さん/和時計・塔時計・天文時計を専門に研究。欧州の塔時計や天文時計にも精通。
国立科学博物館 理工学研究部 理化学グループ研究主幹 洞口俊博さん/天文学・宇宙科学を専門に研究。
地球館2階の展示テーマは【その時、人々は「秒」を意識した】。1920年の「時」展覧会や「時の記念日」について紹介。第1回展覧会の当時、大衆に“秒”を意識させた初めての大々的なイベントとなり、その後の日本人の時間意識にも影響を与えたという。
日本館地下1階の多目的室では、【日本における時計100年の技術の進歩と「時」の研究最前線】を紹介。国内時計産業はこの100年間、正確性と携帯性の向上を追求し、世界市場を席巻するクオーツ時計を開発するなど、世界をリードしてきた。その歴史を物語る写真や関連資料、世界初のクォーツ時計「セイコークオーツアストロン」などの歴史的タイムピースも展示。また、正確な日本の標準時や原子時計、次世代の光格子時計の研究など、精度に関する最先端のテクノロジーについてわかりやすく解説している。
「時の記念日」100周年を迎えた本年、1世紀ぶりとなる「時」展覧会は、JR上野駅から徒歩5分ほどの国立科学博物館で開催。本展覧会のほかにも恐竜の化石や忠犬ハチ公のはく製、ロケットのエンジンといった数々の常設展示もあり、大人から子供まで学びながら楽しめる。
なお、本展示は新型コロナウイルス感染拡大防止の対策を実施。入館にあたっては事前来館予約の必要や入館前の検温チェックなどがある。詳しくは国立科学博物館の公式ホームページ(https://www.kahaku.go.jp/news/2020/reservation/index.html)に掲載されている。
「時の記念日100周年企画展 『時』展覧会2020」
会場:国立科学博物館(東京都台東区上野公園7-20)
開催期間:~2020年7月12日
開館時間:9:00~17:00
入館料:常設展示入館料のみで鑑賞可能。一般・大学生:630円、高校生以下および65歳以上無料
休館日:毎週月曜、6月22日~26日(害虫駆除のためのくん蒸期間のため)
問:国立科学博物館 TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)
https://www.kahaku.go.jp/