なんでいままでなかったの!? カシオ開発陣が語ったオシアナス初の本格ダイバーズ完成までの苦悩

「エレガントスポーツウオッチ」は、昨今の高級時計市場でも人気を集めているジャンルだ。これを2004年から実践し続けてきたのが、カシオが展開する高級ブランド「OCEANUS/オシアナス」。チタンを主とするフルメタルケースに様々な機能を載せたコレクションは、ブランドカラーでもある使い勝手の良いブルーのキーカラーと合わせ、ビジネスパーソンを中心に厚い支持を得てきた。

「エレガンス、テクノロジー」を標榜するこのブランドは、フルメタルでの高機能化を継続し、GPS+標準電波+ブルートゥースの3wayという受信技術の最高峰に到達。次なる段階として、日本伝統の切り子技術をベゼルに用いたエモーショナルなラインも発表した。そして、2020年6月、ついに登場するのがオシアナスで初めてISO規格に準拠した本格ダイバーズウオッチ「オシアナス カシャロ OCW-P2000」である。

本稿では、この注目作を作り上げたカシオの開発チームへのインタビューとともに、2020年6月に発売に先駆けて試用する機会に恵まれた筆者のインプレッションをレポートする。

 

2年以上の歳月を経て完成させたダイバーズウオッチ

カシオ「オシアナス カシャロ OCW-P2000-1AJF」25万3000円 ソーラー電波+ブルートゥース駆動。チタンケース&ブレスレット。縦51.8×横48.5mm(厚さ15.9mm)。127g。ISO200m潜水用防水

–オシアナスは、海をテーマにしてきたエレガントスポーティウオッチですよね。このブランドにとって、ダイバーズウオッチは目指すべき目標だったと思います。これをようやく開発するに至った経緯が非常に興味深いので、ぜひ教えてください。

佐藤さん:フルメタルのアナログ表示でダイバーズウオッチを作るというのは、とてもハードルの高いことなんです。ISO(編注:国際標準化機構)の定める規格に準拠するには、ただ防水性能が高いだけではなく、耐久性や耐衝撃性、視認性も問われます。これを、オシアナスの世界観のなかで満たすことが最も苦労した点ですね。まず、OCEANUSでダイバーズウッチをつくろうと発起した大きな要因に、昨年に「マンタ」ラインから発売した歴代最薄9.5mmの「OCW-S5000」の技術があります。

長澤さん:OCW-S5000では、ケースとベゼルの固定を従来の爪カシメ方式からレーザー溶着にすることでオシアナス最薄となる9.5mmのケース厚の達成に大きく貢献しました。これを新作のカシャロOCW-P2000では、ケースの気密性を高めるべくリューズとボタンのパイプ構造に応用して強度アップさせたんです。バックケースも従来は4点のビスで固定していましたが、このモデルは倍の8点のビスで固定しています。文字盤を守る風防のサファイアガラスもブランド史上最も厚いデュアルカーブガラスを使うことで、200m防水を実現しています。

裏ブタは外縁ギリギリにビス穴を設けてミドルケースと結合。大部分は、潜水用防水時計としてISOをしのぐ内容の自社規格を満たすため、十分な厚みを持たせている

佐藤さん:ただ、先ほども述べたようにISO規格は防水性能が保たれただけでは準拠できません。ISO規格の耐衝撃時計、耐磁時計、も要件に入っており、そのほかにも視認性など、細かく要項が定めてあります。この条件をクリアし、OCEANUSのデザインを達成するために、外装とデザインは、昼夜問わず議論してましたね。

長澤さん:外装チームは、基本的にデザインチームから上がってきた理想のデザインをどうしたら妥協なく形にできるか、ずっと考えていました。私たちにとってもタフな仕事であることには間違いないのですが、最も大変だったのは若山かもしれません(笑)

いつもは羽村まで出向いている取材も、今回はオンライン上で。左から外装担当の長澤さん、商品企画の佐藤さん、デザイン担当の若山さん、一番右は筆者

難易度は敏腕デザイナーのキャリア史上最高レベル

若山さん:私はオシアナス以外のカシオブランド時計のデザインも担当してきましたが、今回のOCW-P2000ははっきり言って史上最高の難易度でした。厚みを活かし大きく配したザラツ研磨によるミラー面や、エッジを効かせたシャープな面構成によりフォルムを美しく引き締め、サファイアベゼルの透明感やブルーの輝きによりフェイスに爽快感を与えました。ISO規格を満たすと大型化は避けられないなか、オシアナスらしいエレガントなダイバーズウオッチにまとめ上げるのは本当に大変でしたね。

機能と上質さのバランスをとるために考え抜かれた5連ブレスレットの構造

長澤さん:初期段階のプロトでは、落下テストをするたびにどこかしら不良がでるもの。この大きなインデックスや針ひとつとっても最適なバランスを見つけるまでに時間がかかりました。解決策としては、インデックスは金属文字盤に取り付け剛性を上げる構造とし、針は軽量でしなやかなカーボンを使うことにしたんです。こうしたアイデアは、若山と幾度となく打ち合わせを重ねてでてきたアイデアでした。

若山さん:この時計で最もこだわったのは「立体感」。それが、オシアナスに相応しいエレガントさを表現するために欠かせなかったんです。外装やフェイスデザインの構成は、オシアナスはもちろん、あらゆるブランドで培った技術をフルに投入しなければ、この時計は完成しなかったでしょう。

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