ジュネーブウオッチグランプリ受賞者が来日! オリジナルストラップオーダーの現場を取材した

先ごろ結果が発表された世界で最も権威ある時計賞「ジュネーブウオッチグランプリ」(以下 GPHG)にて、Petite Aiguille(小さな針)賞を受賞したクドケ。そのオーナーウオッチメーカーであるステファン・クドケ氏が、11月末に行われた百貨店でのイベントに登壇すべく来日した。WNS編集部では、そのイベントの前に彼が日本のオーダーストラップ専門店に訪れたところを直撃。極秘プロジェクトの現場を取材した。

 

代表作に合うストラップを求めて訪ねた日本のストラップ職人

ドイツ人時計師で2019年のジュネーブウオッチグランプリの小さな針賞を受賞したステファン・クドケ氏と奥様
受賞作となったクドケ氏のマニュファクチュールムーブメント

ステファン・クドケ氏が訪れたのは、東京・下北沢にある「アーネストギャラリー」。ここは、約5年ほど前に店を開いたばかりの時計ストラップを中心とするオーダーメイドのレザーファクトリーだ。代表を務める金森氏は、日本の時計業界でキャリアを積んだのち、ストラップ職人へと転身。その道に進むと決めるまではまったく経験がなかったそうだが、いまでは多くの時計愛好家が同氏の技に信頼を寄せるほどの地位を築いた。

金森氏の作るストラップは、腕に巻きつけることを想定した立体縫製が最大の特徴。表側を少し広くとり、それを手首周りの長さに合わせた裏側と縫い合わせる、あるいは貼り合わせることで表の革も、裏の皮もバランス良く張力がかかる構造となっている。この形は、長年にわたり腕時計を見続けてきた金森氏ならではのアイデアといえるだろう。

そんな技術に惚れ込んだのは、日本の時計愛好家ばかりではない。冒頭で取り上げたステファン・クドケ氏も金森氏の技術に魅せられた一人として、多忙な来日スケジュールの合間を縫ってアーネストギャラリーを訪れたというわけだ。

下北沢にあるレザーファクトリー「アーネストギャラリー」(東京都世田谷区北沢3-17-3-101)を訪れたクドケ夫妻と、オーナーの金森氏

この二人を引き合わせたのは、互いのことをよく知るシェルマンである。同店は銀座に本店を構え、名だたる百貨店でも売り場を展開する名店であり、今回の職人コラボレーションを実現させた立役者である。

「金森さんは、私の前職の先輩だったんです。非常に優秀な人で腕時計のことは、彼から学んだといっても過言ではないぐらいお世話になりました。アーネストギャラリーをオープンされてからも色々な企画を依頼してきましたが、このクドケとのコラボレーションはぜひ実現させたかったことの一つでした」(シェルマン営業担当)

実はクドケ氏は英語が不得意。そのため、同行していた彼のドイツ語を奥様が英語に翻訳するという流れでアーネストギャラリーでの打ち合わせはスタートした。残念ながらクドケ氏のみならず、その場に居合わせた私含め英語が不得意な日本人が揃っていたのだが、そこは職人同士のコミュニケーション。言葉の壁を乗り越え、金森さんは様々な提案をし、クドケ氏も用意された多種多彩なレザーを吟味。最適な組み合わせが決まるまでに、さほど時間はかからなかった。

金森氏の製作したサンプルや提案された素材を吟味するクドケ夫妻

「クドケさんのキャリバー1、キャリバー2は、ともにすごくシンプルだから、あまりデコラティブではない方が良いと思いました。また、彼の作品に普段使われているのもブラックのクロコダイルなので、色の違いなどで時計の良さを引き立たせるようなカラーやステッチを提案していきました」(金森氏)

「とても多くの種類があって選びがいがありました。私がこだわったのは裏革の素材。ムーブメントと同系色の牛革があったので、耐久性に問題がなければこれにしてほしいとお願いしました。合計3本製作してもらうのですが、いずれも同じ素材で統一することで今回のコラボレーションにテーマ性ができたと思います」(クドケ氏)

このコラボレーションウオッチは、日本販売向けの特別品になるという。完成品の発表はまだ先の話だが、タイミングがあえば2020年5月のバーゼルワールドで、独立時計師のブースに展示される可能性もあるという。

「私の思い入れのある企画なので、ぜひバーゼルワールドの会場で世界の時計愛好家や関係者の方に見ていただきたいですね。金森さんのレザーなら、きっと高い評価を受けると信じています」(シェルマン営業担当)

「クドケ1」110万円 手巻き(Cal.KALIBER1)。ステンレススチールケース。直径39mm。シースルーバック。アリゲーターストラップ。5気圧防水 今回のコラボレーションのベースとなる1本。これとデイ&ナイト表示を備えたクドケ2で、合計3タイプのストラップを展開予定
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