《HISTORY》
ハイスペックな自社キャリバーを完成させて次なるステージへ
20世紀初頭、オリスはスイスのヘルシュタインという小さな村に設立された由緒ある時計ブランドである。現在も拠点を置き、この地のシンボルとなっている。そんなオリスは実用的な機能と現実的なプライス、時計愛好家にも満足感を与えるクオリティを武器に、世界各国で支持されてきた。近年では最新式の自社ムーブメントを開発・搭載し、新たな領域へとステップアップしている。
わずかな期間で300人超の大企業に成長
ポール・カッティンとジョルジュ・クリスチャンによってオリスは設立。クオリティの高さが話題を呼び、創業から7年後の1911年には、従業員数が300名に達した。スイス時計界でも稀有なスピードで発展してきたのだ。
1929年頃のオリスの本社工場のイラスト。1904年当時の規模と比較し、大きく飛躍したことがよくわかる。
第二次世界大戦で重宝された航空時計
戦闘機や爆撃機が戦局のカギになった第二次大戦時、オリスはアメリカ空軍に「ビッグクラウン ポインターカレンダー」(写真左)を供給。1910年代から航空時計を製造してきた経験と技術に基づき、代表作となる傑作が開発された。
操作性の良さ、精度の高さ、読み取りやすさなどを米軍航空隊が絶賛。右はビッグクラウンのオリジナルモデル(1917年製)。
当時の若者の心を掴んだダイバーズ
ダイビングが普及するなど海のレジャーが盛んになった1965年、潜水時計「ダイバーズ65」が誕生。タイマースケール付き回転ベゼル、夜光機能を持ったボールド体のインデックス、100m防水を備え、多くの人々に愛用された。
レトロデザインが今となっては新鮮に感じる。この伝説的なダイバーズは、半世紀ぶり(2015年)に復活した。
スイス時計界のために立ち上がった1960年代
スイス時計産業の保護と競争規制のため1934年に制定されたスイス時計法は、逆に時計界の発展を妨げる悪法と化した。オリスは10年かけてこの問題に対する人々の意識を高め、1966年に同法を廃止に追い込み、時計界全体に新しい息吹をもたらした。
当時のオリスのリーダー、ロルフ・ポルトマンが地元国会議員に手紙を書き、新聞に意見を投稿するなどしてスイス時計法の問題を提起した。
独立ブランドとして再スタートを切る
1970年、オリスはASUAG(現在のスウォッチグループ)の傘下に。しかし1982年にロルフ・ポートマンとウルリッヒ・W・ヘルツォークが経営陣買収を実現し、クオーツ台頭の時代にあえて機械式中心の経営方針を打ち出して成功を掴んだ。
当時マーケティング責任者を務めていたヘルツォーク(左)はその後、社長として2016年までオリスを牽引した。
創業110周年を祝す新自社キャリバー
長らく自社でムーブメントを製造していなかったが、2014年のブランド110周年を機に久々に復活。完成まで10年をかけた渾身の「キャリバー110」は、10日間パワーリザーブやノンリニアパワーリザーブインジケーター(特許取得)を実現。
35年ぶりの自社製ムーブメントは手巻き式。GMTや多機能カレンダーの追加版、さらにスケルトン仕様の派生型も生まれた。
高性能な自社製自動巻きムーブを開発
手巻きに続き、「キャリバー400」によって自動巻きの自社製造も達成。巻き上げ機構部に低摩擦で機能するスライドベアリングを用い、効率化と故障の低減を両立した。同時に5日間駆動や高耐磁性、10年保証といったユーザーに寄り添った高機能を実現させている。
アンクルとガンギ車にシリコンを用いる他、テン輪やアンクルの軸など30以上のパーツに非鉄または非磁性金属を使った最新仕様。