時計店で活躍する輝く女性=“看板娘”にスポットをあてる連載5回目は、岡山県倉敷市に今年誕生した「トミヤ倉敷店」にうかがった。西日本有数の正規店グループ、トミヤが8月にオープンした倉敷店は、グループで初めて郊外に構えたという駐車場完備の大型店。この新店舗で販売スタッフとして働く青木歩夏さんに、ご自身が好きな時計や男性に着けてほしい時計について語っていただいた。
「存在感と装着感の両方でレベルの高い一本」
―― 学生時代は異なる分野の勉強されていたとのことですが、どうしてトミヤに入社されたのですか?
青木さん:「知識はありませんでしたがジュエリーに興味があったことと、誰かの幸せをお手伝いする仕事に就きたいと考えていました。そこでトミヤと縁があり、現在に至ります」
―― 戸惑うことも多かったのでは?
青木さん:「初めはジュエリーだけを扱う店舗に勤務していたので、とにかくジュエリーについて勉強しましたね。そのうちにユーロサロン(岡山市北区表町)に異動になって、時計も担当するようになりました。当初は知らないことばかりでしたが、知識を得ていくうちに時計の奥深さに興味を持つようになりました」
―― いまではすっかり時計好きに?
青木さん:「はい(笑)。電車の車内で、みなさんがどんな時計を着けているか、気になってついつい見てしまいます」
―― そんな電車に乗っているときなどで、男性が着けていたら“ハッ”とするような時計って何でしょう?
青木さん:「私はフランク ミュラーのロングアイランドを着けていたら、凄くオシャレな方だなと思います。カーブしたフォルムが見た目の想像よりも装着感が良く、スーツにもマッチするデザインといえます」
―― 現在だとヴァンガードが好評ですが、あえてロングアイランドを選んだ理由は?
青木さん:「飽きの来ないデザインで、大胆なケースながら繊細な表現のダイアルが好きだからです。それと、個人的に創業年が私の生まれた年。つまり同い年という運命的なものも感じています(笑)。ペアで揃えることもできるコレクションなので、大切な方との記念時計としても選ばれています」
≪青木さんが選んだ時計1≫ フランク ミュラー「ロングアイランド デイト」
「特別仕様や本数限定は、出会ったときにしか購入できません」
―― どちらかといえば、男性にもドレス系モデルを着けてほしいですか?
青木さん:「ジャンルに関係なく、その時計にこだわりを持っている方は素敵だなと思います。最近は、その日のファッションに合わせて時計を替えるお客様も多いです」
―― では、こだわりをアピールできるような一本を選ぶとすると?
青木さん:「いまですと、ゴールドパーツをあしらったクロノマット 44はいかがでしょう。以前ラインナップしていた人気バリエーションの復刻版で、ベゼル上の4つのライダータブとリューズ、プッシュボタンにローズゴールドを使っています。華やかなクロノマット 44にゴールドで品を加えたデザインが、通常モデルとは異なるインパクトを与えるはずです」
―― クロノマット 44は来年リニューアルとの噂もありますね。
青木さん:「来年の情報はまだ入っていませんが、クロノマット JSP系を除いたクロノマットコレクションの生産終了はアナウンスされました。ですので、このビコロモデルも残りわずか。クロノマット35周年を記念する時計として特別に作られたもののため、もとから数が少ないのです」
―― ブライトリングを着けている男性の印象は?
青木さん:「こだわり派の方が多く、購入を検討されている方も時計好きが多いですね。そのため他ブランド以上の知識を備えておく必要があり、日々勉強しています。お客様から教えていただくこともよくありますね。このクロノマット 44はローマ数字インデックス、針、そしてウィングロゴもゴールドカラー。こういった凝った作り込みに、こだわりの強さを感じます」
≪青木さんが選んだ時計2≫ ブライトリング「クロノマット 44 ビコロ」
「ダイヤモンドを扱ってきたからこそわかる、ハイクオリティ」
―― ご自身が着けたい時計は、どんなジャンルでしょうか?
青木さん:「同僚やお客様ともその話題になりますが、次から次へと魅力的な時計が登場するので目移りしてしまい、未だ選びきれてないのが現状です(笑)。ただ、いままでジュエリーを担当してきたため、その経験からいってもセンチュリーのダイヤモンドは品質が高く、候補の一本になります」
―― ダイヤモンドから時計を選ぶのは、女性ならではの視点かもしれません。
青木さん:「以前よりもダイヤモンドを使ったメンズウオッチは増えていますが、めずらしい時計を持ちたい方にとって、ダイヤモンド入りは個性を主張できる一択になると思います。センチュリーはジュエラーとしても歴史があるので信頼できますし、コストパフォーマンスの高いコレクションを多く揃えています」
―― どのモデルがイチ押しでしょうか?
青木さん:「私も一本欲しいと思っているプライム タイムはいかがでしょう。腕が細い方でも着用しやすい31mmのボーイズサイズで、イマドキな“シェアウオッチ”にも適しています。ダイアルはライトグレーのマザーオブパールで、インデックスに入る12ポイントのダイヤモンドも控え目で美しい!!」
―― 機械式ではなくクオーツというのもシェアウオッチ目線?
青木さん:「そうですね。手軽でわかりやすいクオーツなら、大切な人とシェアする時計として適しています。それに、センチュリーは高品質なスイス製クオーツですので精度面も安心です。そしてケースは傷に強いサファイア製なので、買ったときのきれいさを長く保てます。ですので着用していれば、きっと好印象を与えることでしょう」
≪青木さんが選んだ時計3≫ センチュリー「プライム タイム」
「広告にも使われているゼニスのブルーを文字盤にあしらう」
―― 選んでいただいた時計からは、いずれも強いこだわりを感じます。本当に時計が好きなのですね?
青木さん:「トミヤ倉敷店が揃えているだけでも、時計ブランドは約20社を数えます。それぞれに歴史や物語があって、時計好きのお客様との会話は尽きることがありません」
―― では、まだ時計に詳しくない人でも興味を抱く時計とは、どんな時計でしょう?
青木さん:「男性には、語れるストーリーのある時計が興味を持っていただきやすい傾向があります。そういった視点ですと、ゼニスのエル・プリメロは外せません。かつてロレックスに供給していたムーブメントの後継機を搭載していますし、そのキャリバーは1970年代に消滅してしまう危機もありました。こういった逸話を説明すると、ゼニス自体にご興味を持っていただくこともあります」
―― エル・プリメロを搭載しているモデルは多いですが、その中でもとびっきりの一本を選ぶなら?
青木さん:「やはり定番のクロノマスター エル・プリメロ オープンでしょうか。ダイアルの小窓から見えるテンプの振動は、ついつい見入ってしまいます。とくにブルーダイアルが好きですね。このブルーはゼニスの広告にも使われている夜空をイメージしたもので、知的な印象を与える美しいカラーです」
―― そこにもこだわりがあるのですね?
青木さん:「クロノマスター エル・プリメロのブルーダイアルで、ブレスレット付きのスポーティなタイプ。とてもレアな一本なので、人と違った時計をお探しの方にぴったりです。またこの時計はシースルーバックなので、ローターにゼニススターをあしらった芸術品のようなムーブメントを鑑賞できるなど、とにかく語りどころが尽きないモデルといえます」
≪青木さんが選んだ時計4≫ ゼニス「クロノマスター エル・プリメロ オープン」
―― 最後に、人にとって時計とはどんな存在であるべきと考えていますか?
青木さん:「(笑)難しい質問ですね。当たり前のことですが、時間は平等で限られたものです。ただ、同じ時間を示していても時計によってその印象は変わります。一日に何度も時間を確認しますが、好きな時計で見る方がモチベーションが上がりますよね。だからこそお客様には、時計にとことんこだわっていただきたいですし、購入してからもっと好きになってもらいたいと思います。そんな、“パートナー”のような存在になる時計とめぐり合うきっかけを、多くの方にお届けできたら嬉しいです」
<取材協力>
TOMIYA 倉敷店
TEL:086-430-1038
住所:岡山県倉敷市宮前380-119
営業時間:11:00~19:30
定休日:第1・第3火曜日
https://www.tomiya.co.jp/
取り扱いブランド:ロレックス、フランク ミュラー、タグ・ホイヤー、ブライトリング、ゼニス、グランドセイコー、セイコー(プレザージュ、プロスペックス、アストロン)、ハミルトン、ノルケイン、センチュリー、ジェイコブ、バルトレーなど
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