ウオッチナビが選んだ腕時計の進化を体現するクロノグラフ20選――オーデマ ピゲ編

腕時計の発展を牽引する現代の優れたクロノグラフを、時計専門誌・ウオッチナビが厳選して紹介する連載3回目は、後世に語り継がれる傑作デザインを踏襲したオーデマ ピゲの新クロノグラフにフィーチャー。ラグジュアリースポーツを体現する佇まいとダウンサイジングによって、その存在を特別なものへと昇華させることに繋がった。

オーデマ ピゲ「ロイヤル オーク・クロノグラフ」Ref.26315ST.OO.1256ST.01 275万円/自動巻き(キャリバー2385)。毎時2万1600振動。約40時間パワーリザーブ。コラムホイール&垂直クラッチ搭載。ステンレススチールケース&ブレスレット。直径38mm、厚さ11mm。5気圧防水

クロノグラフ化にも対応するジェンタ・デザインの多様性

1972年に“ラグジュアリースポーツ”という新ジャンルを開拓した、オーデマ ピゲのロイヤル オークは、いまや成功者たちのアイコン的な存在となった。そのデザインコードを受け継ぎ、1997年に登場したのが「ロイヤル オーク・クロノグラフ」である。さらに今年、誕生20周年に際してスモールセコンドを小型化し、積算計を大きくした新世代のフェイスに改め、コンパクトな38mmの新サイズが加わった。

ひと目でそれとわかるデザインは、“時計界のピカソ”と称されるジェラルド・ジェンタによる初代ロイヤル オークの意匠を踏襲したもの。象徴的なのが、完璧に向きをそろえた8つのビスで固定される八角ベゼルや、快適な装着感につながる1コマずつ先細りしたブレスレットだ。

サブダイアルを際立たせたフェイスは、1930~60年代の時計デザインに着想を得たもの。上品なシルバーとネイビーが織り成す美しいコントラストのパンダダイアルが、腕元を爽やかに演出する。38mmへの小型化によって、腕の細い日本人にもジャストサイズという表現があてはまるだろう。搭載ムーブメントは41mm仕様と同じ自動巻きで、針飛びのしにくい垂直クラッチを採用している点も評価したい。

 

世代をこえて愛される唯一無二のジェンタ作の意匠が、38mmという新サイズと化学反応を起こし、本作に様々な効果をもたらすことに繋がった。その一例が、引き締まったグランド・タペストリー文字盤。積算計を際立たせ、視認性と審美性の理想的なバランスを実現している。半世紀近く前に生まれたこの傑作デザインは、クロノグラフ化によって底知れぬポテンシャルを発揮し、新たな魅力を見せつけたのである。

 

問:オーデマ ピゲ ジャパン TEL.03-6830-0000
https://www.audemarspiguet.com/ja/

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